なれそめ。Side:I 【QK】 (ページ4)

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なれそめ。Side:I 4 ページ4

日が暮れさらに数時間後、1人また1人とオフィスを後にするが、彼女はまだ帰ろうとしない。
よく集中力が続くなぁと感心しながら、俺はのんびり東大王収録の対策をする。

20時か。
ガタッと席を立ち、俺は彼女に歩み寄った。

「Aちゃん。頑張るのもいいけどさっきから全然飲まず食わずじゃない？ごはん食べ行こう？それからまた頑張ればいいじゃない」

彼女は俺の方へ顔も上げず、ジッとPCを見続ける。

『いえ、私は結構です。お誘いありがとうございます』

またしても断られ、俺の精神ダメージはさらに深いものとなった。
肩を落としながら、俺は1人で飯を食べに行く。

近くのラーメン屋に入り、辛味噌ラーメンを注文。
ほどなくしてラーメンが運ばれてきたので、手を合わせた後一気に麺を啜った。
うまい。

彼女は大丈夫だろうか。
若いから多少なりとも無理はきくだろうが、女の子が無理をするところは見たくない。

スープを飲み干し、会計を済ませて店を出る。

直接的なことで助けてあげられないのなら、せめて何か小さなことでもしてあげたい。
俺は帰り道にあるコンビニに寄り、おにぎりと栄養ゼリーとお茶を買った後オフィスへと戻った。

玄関を開けさらに作業部屋へ入ると、彼女は俺が先程出かけた時とまったく同じ姿勢をしている。

それを見て苦笑いを浮かべながら、俺は「ただいま」と彼女に声をかけた。

『……』

ついに無視。
いや、わかっている。
無視ではなく集中しているだけだということは。
それでも辛い。

邪魔をしては悪いと思ったが、さらに言葉を続けた。

「一応軽くおなかに入れられるもの買ってきたんだけど…」

『……』

ほんとにすごい集中力だな！？
いっそ無視されているのではないかと疑いの念を抱かされる。
俺の精神はすでにHP:0だったが、なんとかビニール袋からおにぎりを取り出して彼女の視界の隅に入れようとした。

だが、彼女はまったくこちらを見ようともしない。
一旦おにぎりを諦め、今度は栄養ゼリーを取り出す。
やっぱり反応はない。