なれそめ。Side:I 13 ページ13
彼女を待っている間、どうやって想いを告げようかとひたすら思案していた。
食事が終わった段階で?
それとも食事が来る前?
そもそも彼女は俺のことをどう思っているのか?
初めて会った時に『ファンです』と号泣されたのは覚えているが、ファンであるということは恋愛感情に成り得ることはあるのか?
頭を悩ませていると、ふと店の外に人影がチラチラしていることに気づいた。
彼女だろうか。
席を立って店の外に出てみると、彼女がいた。
慣れないフレンチの店に恐縮しているようだった。
彼女を招き入れ、席にエスコートする。
やばい。緊張してきた。
そもそも呼び出した理由が未だに明確ではない。
「今日はお祝いだから。好きなの食べて。俺のおごり」
間違ってはいないだろう。動画の初出演祝いだ。
俺はさらに緊張からか口数が多くなり、思わず彼女に好きな食べ物を訊いてしまった。
『た、たこ焼きです…』
思いがけない返答に目玉が飛び出す勢いだった。
彼女は言った後にふと我に返ったのか、恥ずかしそうにテーブルの下へ隠れようとしている。
ちょっと待って。可愛すぎない?
俺は込み上げてくる笑いに耐えられず、声に出して笑ってしまった。
彼女はそんな俺を見て涙目で憤慨していた。
その顔も可愛いなぁと思いながら、俺は必死に笑いをこらえようとする。
そのまま2,3言葉を交わし、ウェイターに注文をすると、彼女は俺にずいと顔を近づけてきた。
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年3月27日 19時