なれそめ。Side:I 11 ページ11
今日はこの前撮影した動画の公開日だ。
俺はインタビューの仕事でオフィスには行けなかったが、今頃ふくらさん達が公開の準備を進めている頃のはず。
あーあ。画面外とはいえ出させたくねぇなぁ。
だが、撮影が無事に終わった後、彼女がふくらさんの編集作業を一生懸命手伝っていたのを見てそんなことは言えなかった。
問読みも落ち着いてできていたし、これは本当に人気が出るだろう。
ふと俺のスマホが軽く震えたのを感じ、電源をつけると新着動画の通知が。
公開されたのか。
動画を開いてスクロールをし、コメントを眺めていくと。
彼女に対する肯定的なコメント、彼女がプレーヤーとして参加することへの期待で溢れていた。
やっぱりなぁ。
自分が一視聴者だったとしても、そう思うことだろう。
彼女には人を惹きつける才能がある。
ふとTwitterで動画紹介ツイートをしようとアプリを開くと、おすすめユーザーの中に彼女の名前が。
前から何度かふくらさんに「AちゃんTwitterやらないのかなー」とぼやいていたが、それが叶ったのだ。
驚きながらも急いでフォローをし、ツイートを見てみると彼女らしい真面目なツイートが1件あった。
そして、いいねとリツイートが目まぐるしく増えていっている。
リプ欄を見てみると、彼女への賞賛とTwitterを始めたことへの喜びのコメントが数え切れないほどあって。
…俺だけが、彼女の良さを知っていたのに。
込み上げてくる嫉妬心は、留まるところを知らない。
言いたい。今すぐにでも。
1秒でも早く彼女を俺のものにしたい。
俺が早く仕事が終わらないかと思いながら、内心地団駄を踏んでいるとインタビュー内容と写真のカットを確認した編集者が俺にOKサインを出してきた。
それを受けて俺はふくらさんに連絡をした。
“お疲れさまです。動画投稿ありがとう。オフィスにちゃんまだいる?”
そのまま既読がつくのを待っていると、
“さっき帰ったよ”と返答が。
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年3月27日 19時