なれそめ。Side:I 【QK】 (ページ2)

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数日後。

研究室帰りにオフィスに入ると、すぐに違和感が。
ライターの皆が作業を進める中、1人だけ殺気を放っている人物が。
彼女だ。

コーヒーを手に持ったふくらさんと遭遇する。

「あ、伊沢」

「お疲れさまです。…Aちゃん、どうしたの？」

「あーなんか記事書くのに必死になってたら、明日提出の大学のレポート1つ忘れてたんだって。ここに来る途中で気づいたみたいで、今死ぬ気でやってる」

学業とライターの両立は、最初の頃こそ皆苦しんでいた。
だが、慣れもありなんとか今はこなせているようだ。
俺もQuizKnockを立ち上げるにあたり、院との両立に何度も苦しむことがあった。今もそうだ。
両立することの大変さは、ここにいる全員が知っている。

俺は彼女に近寄り、声をかける。

「Aちゃん」

『あ、伊沢さん！お疲れさまです。すみません、オフィスで記事も書かずに自分の勉強をして…今は自分の家に帰る時間も惜しくて』

彼女のデスクの上には資料と本が散乱している。

「気にしなくていいよ。それより何か手伝おうか？」

俺がそう申し出ると、彼女はキッと俺を見上げた。

「いえ、大丈夫です。QuizKnockに入らせていただいたときに、絶対両立するって自分で決めたので」

そう言って彼女はまた黙々とレポートを書き始める。