伊沢さんが出張に行く話。3 ページ3
翌々日の早朝。
「ふくらさん、悪いけどこの仕事お願いしてもいいかな?この中にデータ入ってるから、でき次第俺にメールで送って」
旅行カバンを持った伊沢さんが、ふくらさんにUSBメモリを渡している。
私はそんな2人のやり取りを遠巻きに見ていた。
まだ早い時間なので、他のメンバーは誰も来ていない。
私も普段はこの時間には来ないが、今日は伊沢さんの出発を見送るべく早起きをしたのだった。
「じゃあ、行ってくるから」
そう言って伊沢さんが玄関へ向かう。
私とふくらさんは彼を見送ろうとその背中を追った。
本当に今日から5日間会えないのかぁ。
どうか彼が身体を壊さないようにと強く祈っていると、ふと何かを思い出した様子の伊沢さんがこちらへ振り返る。
そして、手に持っていた旅行カバンと反対側の手に持っていた紙袋を「これ」と渡してきた。
何だろうと思いながらそれを受け取り、中のものを確認しようと手を入れればふわりとした感触が。
慌ててそれを取り出せば、30cmほどの大きさの、胸元に赤いリボンが巻かれた可愛らしいクマのぬいぐるみが姿を現した。
「寂しくなったら、それを俺だと思って」
にこりと私に微笑みかける伊沢さん。
それは無理があるのでは、と苦笑しながらも、彼からもらったものは何でも大切にしようと私はそれをぎゅっと抱きしめる。
『…ありがとうございます』
私がそれを告げると、彼は満足そうに一つ頷きオフィスを出て行った。
やっぱり子ども扱いしてる。
多少の不満が残るものの、私は彼の仕事が無事に終わることを願いながら彼を送り出したのだった。
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Annie(プロフ) - ありがとうございます!応援とても嬉しいです(照)もっと素敵な伊沢さんをお届けできるよう頑張ります! (2020年4月2日 20時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
空白@吹部@Tp@不定期浮上(プロフ) - Annieさんの書く伊沢さんが私が考えてる伊沢さんで好きです(大声)応援してます!これからも頑張ってください! (2020年4月2日 3時) (レス) id: 16e27b9642 (このIDを非表示/違反報告)
sekainoowarilov(プロフ) - Annieさん» 興奮で言い忘れてしまいました、いつも作品楽しんで拝読しています。これからも頑張ってください!!楽しみに待っています! (2020年3月30日 21時) (レス) id: 8cc800abef (このIDを非表示/違反報告)
Annie(プロフ) - sekainoowarilovさん» えー!泣かないでください!笑でも嬉しいですありがとうございます…!これからも頑張ります! (2020年3月30日 17時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
sekainoowarilov(プロフ) - 好きすぎて本当に悶えました、深夜に読んでいるので悶えすぎて泣きました、ありがとうございます! (2020年3月30日 3時) (レス) id: 8cc800abef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年3月26日 12時