小春日和と伊沢さんと。6 ページ6
それにしても伊沢さんには悪いことをしてしまった。
折角私が喜ぶと思って雑誌を持ってきてくれたというのに、先程のような物凄く微妙な反応をされたら誰だって傷つくだろう。
パッと見ただけだが、インタビュー記事に載っていた伊沢さんの写真カットは真剣な顔のものと人懐っこい笑顔のものと、いつもながら素敵に映っていた。
最低2冊は買うとして、もう1冊買うべきだろうか。
毎度のことながら読み返しすぎて雑誌がボロボロになってしまうので、いつも多めに買っておけばよかったと後悔をする。
端から見た人は、本物の彼が近くにいるのだからそんなものは必要ないだろうと言うのかもしれない。
それは違う。
人生をかけて憧れ続けた人の言葉や写真、映像の数々には限りがある。
私は彼を一方的に知っていて、一方的に好きだった期間のほうが長い。
だからこそ、今でも一ファンとして彼に接し続けている部分もある。
ファンと呼ぶよりは今はオタクに近くになってしまっているが、そんなこよなく憧れる彼の登場するメディアは何でも知りたいし例えどんなに小さな情報でも知りたいのだ。
それに、私が撮った彼の写真はいつもブレブレでピンボケしまくりのため、プロが彼のことを素敵に撮ってくれるのは本当に有り難い。
私が顔を緩めていると、ふいにドアが開く音が。
そちらの方へ目を向ければ、現れたのは伊沢さん。
私が席に戻るのが遅すぎて心配させてしまったのだろうか。
『ご、ごめんなさい！すぐ戻ります！』
焦る私が立ち上がりながらテーブルに置いたマグカップを掴もうとすると、
「あ、気にしないで。そのままでいいよ」
と伊沢さんは私の行動を制止する素振りを見せる。
疑問に思いながら彼を見つめていると、彼はスタスタとこちらへ歩み寄ってきたかと思うとそのまま私の隣に座った。
「しばらくここにいよう」
彼がそんな提案をしてきたことを余計に不思議がる私。
ぽんぽんと私が座っていた箇所を軽く叩きながら、再びソファに座るよう促す伊沢さん。
ゆっくり腰を落としてみると、その瞬間ガバッと大きな腕に抱きしめられた。
あまりに突然のその行動に、私は目を見開いて驚くことしかできない。
抱きしめた彼は私の身体を小さく撫でてくれたかと思うと、
「あぁ、やっぱり。だいぶ冷えちゃったね」
と呟いた。
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Annie(プロフ) - ふうさん» ふうさんこんにちは、お返事が遅くなってしまい申し訳ありません…！また、ご指摘いただきましてありがとうございました！私の知識不足で安易にタイトルをつけてしまいました…修正するのも今更なような気がするので、このままにしてしまおうかと思います。すみません！ (2020年7月26日 14時) (
レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
ふう - 小春日和は、秋の春みたいに暖かい日を、さす言葉ですよ。分かりづらくてすみません。 (2020年4月20日 22時) (レス) id: 2bb3a5dd8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Annie
| 作者ホームページ：https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時：2020年3月21日 12時
