検索窓
今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:27,319 hit

小春日和と伊沢さんと。4 ページ4

「お疲れー」

しばらくすると、伊沢さんがやって来た。

「よっすー」

「お疲れさまです」

『…オツカレサマデス』

須貝さんとこうちゃんが涼しい顔で彼に挨拶をする中、カチコチに固まった唇を懸命に動かしながらなんとか挨拶を交わす私。

「Aちゃん、来てたんだね!」

私の顔を見た途端、ぱあっと晴れやかな表情を浮かべる伊沢さん。
手にしていた荷物の中からごそごそと何かを探った後、彼は1冊の雑誌を取り出した。

「はいこれ。この前受けた俺のインタビューが載ってる雑誌の見本誌。今日届いたんだ」

そう言いながら私にそれを嬉しそうに差し出してくれる。

彼は伊沢オタクである私のために、いつもこうやって自分が載っている雑誌を見せてくれたり、出演する予定のテレビの情報などを教えてくれたりする。
私はそれを受け、ご機嫌でどの雑誌を何冊買うか考えを巡らせたり、テレビの録画予約をしたりするのだ。

ただ、今日はこの寒さのせいかそれを手放しに喜ぶことができなかった。

『…ありがとうございます』

いつになくテンションが低いままそれを受け取る私。
彼が載っているページをめくり、インタビューの記事に目をやるがまったく内容が頭に入ってこない。

喜ぶ素振りを見せねばと、にこりと引きつった笑みを伊沢さんに向け。
彼は自分に向けられた私の気持ち悪い表情に唖然としている。

ここで私の我慢が限界を迎えた。
慌てて雑誌をデスクに置き、コーヒーを口に含もうとするが、すでにマグカップの中のそれは空になっている。

「…コーヒーを淹れてきます」

未だに口を開け続ける彼を置いて、私はマグカップを片手に足早にキッチンへと向かった。

小春日和と伊沢さんと。5→←小春日和と伊沢さんと。3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (76 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
36人がお気に入り
設定タグ:QuizKnock , 伊沢拓司 , 夢小説   
作品ジャンル:ラブコメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Annie(プロフ) - ふうさん» ふうさんこんにちは、お返事が遅くなってしまい申し訳ありません…!また、ご指摘いただきましてありがとうございました!私の知識不足で安易にタイトルをつけてしまいました…修正するのも今更なような気がするので、このままにしてしまおうかと思います。すみません! (2020年7月26日 14時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
ふう - 小春日和は、秋の春みたいに暖かい日を、さす言葉ですよ。分かりづらくてすみません。 (2020年4月20日 22時) (レス) id: 2bb3a5dd8a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09  
作成日時:2020年3月21日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。