【ユーリ!!! on ICE】a ray of hope【男主】 (ページ6)

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第三滑走お腹の虫ページ6

周りからの期待の目。

それは、時には自分への励みになり、時には大きなプレッシャーとなる。

特に勇利はそういうのに弱いタイプだ。

きっと精神的もボロボロだろう。

…その気持ちは、僕もよく理解できる。

そんな時にはなるべく他とは関わりたくないものだ。

…というか、

｢そのとんでもないお客さんって…誰？｣

｢いやぁ…それがねぇ｣

言葉を濁すミナコさん。

一体誰が来たというのだ。

そんなにも言いづらい人なのだろうか。

｢まぁ自分で見て確かめた方がいいと思うわ。
私からはなんとも｣

…結局は教えてくれないってか。

でもどうせ僕とは関係のない人なんだろう。

今の季節は冬。

日が落ちるのが早いせいで既に真っ暗になった道を、僕とミナコさんは並んで歩く。

僕が歩道側でミナコさんが車道側。

普通は男の僕が車道側を歩くべきなのだろうけど、前にそれを言ったら“アンタはただでさえフラフラしてるのにこれ以上心配させてどうすんのよ！”と吐き捨てられた。

…そんなに僕ってフラフラしてるかな。

結局そんな事があってから、この2人の歩く時は自然とこのポディションだ。

ゆ～とぴあへの道のりは、ここからそれ程遠くはない。

沿岸沿いの道をずっと進んでいけばいいのだが、橋の上を通る時にはより一層潮風が当たって肌寒い。

冬でも微かに磯の香りがする。

始めこの街に来たばかりの時には、慣れない海の塩辛い風や匂いに鼻が痛くなる様に感じることもしばしばあったが、今では磯の香りがする度に、長谷津という街の暖かさを感じる。

｢…ミナコさん｣

そう問いかければ、彼女は“何よ”と言って振り返り立ち止まる。

｢いや、なんとなく、呼んでみただけ｣

｢はぁ？
何よそれ｣

心底呆れた、という顔をする。

僕はそれを見て、ははっと笑う。

すると、ミナコさんは珍しいモノを見るように僕の顔を見つめた。

｢…え、な、何？｣

｢いや、今日のA、なんだかゴキゲンじゃない？
…なんか変なものでも拾い食いしたの？｣

｢え、そうかな…
ってか、変なモノとか…なんでそうなんだよ｣

きゅるるるるる…

｢｢…｣｣

僕の腹が盛大に鳴る。

…あぁ、なんてタイミングが悪い。

｢違う!本当に拾い食いじゃないから!!｣
必死に弁解するもミナコさんはゲラゲラと笑う。

｢わかったわかった(笑)
拾い食いした事皆には内緒にするから!｣

｢だからしてねぇーから!!(泣)｣

そんな会話をしていると、いつの間にかゆ～とぴあの前だった。