【ユーリ!!! on ICE】a ray of hope【男主】 (ページ27)

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第二十四滑走非日常ページ27

～Aside～

…最近、益々世間が騒がしい。

平和だった僕の世の中はガラリと変わった。

毎日毎日メディアに騒ぎ立てられる日々。

慣れたとはいえ少しは静かにしてもらいたいものだが、それも簡単には変えられない。

何故なら、いつの日かアイスキャッスルはせつへと連れて行ったユーリがロシアの有名なフィギュアスケート選手だったのだ。

…滑らなくなってからというものの、フィギュアはTVで勇利の演技だけ見ていたし普段はニュースすら見ない非現代っ子の僕はそんな事を知る由もない。

…まぁ、僕の名前を知っていた時点で何となくフィギュア関係だと察していたけれど…

｢すげぇ人気…｣

僕はトレンドニュースを見ながら呟く。

写真と共に彼に関する記事がこれでもかとぎっちり書かれてある。

その時点で記事を読む前から彼は凄い選手なのだとわかる。

まだ彼は15歳にも関わらず高得点連発。

そして今年からはいよいよシニアデビューだそうだ。

こんな大切な時期に日本なんかに来て大丈夫なのかと心配になるが何しろヴィクトルのプログラムを貰う約束だったらしく、わざわざここまで1人で追いかけてきたのだとか。

しかもロシアには彼の熱狂的ファンもいるらしく、写真には横断幕や団扇(うちわ)を持った可愛い女の子たちが写っていた。

…ユーリはアイドルなのか←

でも彼女達がこんなふうに彼を追いかけ回す理由もわかる気がする。

彼の美しい顔を見たら、きっと誰だって息を呑むはずだ。

男の僕でさえそう思うのだから、きっと世の中の女性はイチコロなのだろう。

…ヴィクトルといいユーリといい、ロシア勢は女性を虜にするのが上手らしい。

そしてなんといってもここまでマスコミが騒ぎ立てる最大の理由は、勇利VSユーリのヴィクトルをかけた勝負をすることにある。

初めにそれを聞いた時は、きっと噂を聞きつけた誰かの悪戯だろうと本気にしていなかったもののそれは事実らしい。

1週間ほど前から“温泉onICE”と書かれたポスターが街中に貼られていたのには度肝を抜かれた。

なんだか、長谷津が自分の知る長谷津じゃ無くなっていくようだ。

素直に人が沢山来ることを喜ぶべきなのかもしれないが、今までの落ち着いていた時の方がよっぽど僕にとっては嬉しいし暮らしやすかった。

ヴィクトルとユーリもここで暮らしている。

そのくせ僕は殆ど彼らと会う事は無い。

何故なら彼らが一日中練習をしているし、僕も部屋に引きこもってばかりいるからだ。