【ユーリ!!! on ICE】a ray of hope【男主】 (ページ21)

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第十八滑走 boy in black ページ21

それからしばらくして彼女と別れたあと、僕はふらふらと商店街を歩いていた。

そんな時にも、すれ違った人々からは｢おはよう｣と挨拶される。

僕もそそくさと軽く会釈をする程度だが、挨拶を返す。

今の時代、ここまで地域の人が温かい場所は中々ないと思う。

世界中全てネットで繋がっている。

とても便利な世の中だし、人付き合いの悪い僕にとっては顔を合わせずになんでもできてしまうのでありがたいが、たまにはこうして挨拶を交わし合うのも悪くないかもしれない。

…昔ながらの建物も多くて、趣のある風景が続く。

煙草も無事買うことが出来たし、久々にあの場所にでも行くか。

いつの日かミナコさんが探しに来た、あの公園。

そこは僕がゆ～とぴあ以外で唯一心を落ち着かせることの出来る場所。

そう言えば、最近はどうしたことかあの公園にもめっきり行かなくなってしまった。

理由は、メディアや観光客が多くなって外出するのを控えていたからなのだが、今日久々に外に出たのだ。

ここからそれほど遠くもない。

うん、そうしよう。

僕は新しい箱を開けて煙草を取り出す。

その時だった。

｢お、おい!お前!!｣

突然慌てたようなロシア語が聞こえた。

いきなりの大声に買ったばかりの煙草を落としそうになるが、ぐっとこらえて誰が叫んだのろうとあたりを見渡した。

……彼は、

声の主はすぐにわかった。

20mほど先。

こちらを指さして口をぱくぱくとさせている少年が立っていた。

全身黒い服にサングラスとマスクをかけている。

目立たないようにと思って着ているのだろうか。

しかし黒いスタジャンのジッパーから覗く虎のトレーナーにヒョウ柄は、とても目立っていた。

そして深く被ったフードからは柔らかそうな金髪がチラチラと映る。

…僕、あんな友人いたっけ？

昔はそれなりに外国人の知り合いもいたが最近はめっきりだし、あんなにファッショナブルな少年だ。

一度会ったらあったら嫌でも覚えているはずだろうが、記憶にない。

それにあんなに若い友人はいない。

この状況をどうするべきかと考えていると、なんだなんだと周りに人だかりが出来始める。

そりゃあそうだろう、こんな不健康そうな日本人男性が普段見かけぬ外国人から絡まれているのだ。

誰かこの状況を助けてくれないかとキョロキョロあたりを見回すも、僕を怪訝な表情でチラチラと見つめるばかり。

そりゃあ面倒事に関わりたくないのはようわかりますけれども。

…どうしよう。