inverse

25 ページ25

えぇい！最後の足掻き


「ドンへ？」

「うん」


うんって何？
子供？


「あの…ね？
手帳、郵便受けに入れてくれたらいいよ？」

「やだ」

「え？」

「もうチェックアウトしたし
出発までまだ時間あるし
荷物も大きいから(笑)

開けて？」

「いや…あの…
今すごい格好し「気にしない」」


うん。私が気にするんだけどね？



「ってか、早く開けてくれないと
大声出すよ？」


扉の向こうからなのに
大きく息を吸い込む音が聞こえた気がして


「待って！」


次の瞬間鍵を開けてた
なんだって…なんだっていつもドンへのペースに巻き込まれるんだろう？

この姿は今は私的にトップシークレットなのに
変わってからは彼氏にも見せてないのに…


「あは(笑)
俺の知ってるAだ(笑)」


ってぱかっと口を開けて笑ったドンへが
ムギュッってハグしてきて…


「入っていいよね？」


って私の背中を押しながら
部屋の奥に進んでいく


ねぇ？ここ、私の家…ですよね？


「ドンへ？帰りの時間って？」

「夕方」


え？
まだ太陽がてっぺんにも昇ってない時間…
ですよ？


「それまでどこか「行かない(笑)」」


そう…なの？


「えぇっ？」


明らかにショボンって顔になったドンへが


「ダメ？」


って見上げてきて
なんなんだこれは…
この破壊力はなんなの？


「いい…けど
家のこととかしたくてその…」

「気にしないで
俺、勝手にくつろいでるから(笑)」


勝手に…
なぜあなたは、初めてきた家で
勝手にくつろげる？


って考えてるうちに
ソファに体を預けて目を閉じたドンへが


「ん〜
いい匂い…何の匂い？」

「え？」


クンクンしても
私にはよくわからなくて


「洗…剤？」

「ん？そう？
花みたいな…でもちょっと違う自然な」

「ジャスミンティ？」

「ん〜…」


ぱちっと目を開けて
こっちに向かって歩いてきたドンへが
またギュって抱きしめて
首筋に顔を埋めて


「え？ちょ…」


「これだ(笑)
Aの匂い(笑)」


って…
なんなのこの人？
計算なの？
天然なの？


なんでこんなにドキドキさせるの？
もう恋なんてしないって
そう思ってるのに
なんで？

26→←24

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す