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「テヒョナ…?」
「なあに?」
「ごめんね、テヒョンのこと、また傷つけるかもしれない。でも正直になろうって思って」
「へ……?」
「私、バイトしてたんじゃないの」
ほとんど何も見えない暗闇で、テヒョンの声だけが様子を知ることのできる頼りの中で。
正直に話すって本当に勇気がいる。
もし言い終わった後、テヒョンが怒ったら、泣いたらどうしようって考えてしまう。
もう不安にさせるのは、失望させるのは、はたまた自分が嫌われるのは……すごく怖い。
世界には怖いことだらけだな。正直でいるのも怖いだなんて。
でもここで正直にならなきゃ、また嘘つき続けることになる。
もう曖昧に、中途半端にしていたくないから。
「私、バイト終わった後、バイト先の先輩と一緒にいたの。それで、色々たくさんのこと話してて、それで遅くなったの……ごめん、待っててくれたのに」
「そうだったんだね。そうだ、電話番号言ってなかった。今度から電話してね……?」
「うん…わかった」
あれ、なんか普通に終わっちゃった。
もっと怒るかなとか、泣いちゃうかな、とかそんな反応を予想してたのに……。
それか、嫉妬、とか……。
って何考えてんだ私、会ったばっかの人が嫉妬とかするわけないのに!!
してくれたらいいな、とか思っちゃったりして……。
というか、もしテヒョンが違う女の人といたら、ちょっと……嫌な気持ちがするかもしれない。
って、私マジでどうしちゃったんだ。おかしいよね。こんなこと思って……。
「A?寝てる?」
「っ、寝て、ないよ……」
「眠たくない?ぼくうるさい?ぼくのせいで寝れない?」
「いいいいやいやいや、そっ、そんなことないよ、テヒョンのせいじゃない!」
ぼくのせいで、とかいうからビックリして大声出しちゃったお……。泣
テヒョンって、どうしていつも自分のせいかなみたいに、自虐の方向に向かって行くんだろう。
自分のせいなんかじゃないのに、そうやって言われると私が虐めてるみたいで心苦しい。
まさか、それが狙いなのかな……?
「ぼくのせいじゃない?ほんと?よかった……」
「う、ウン……」
「おやすみA」
「おやすみ、テヒョン…」
テヒョンは一層私の体にぴったりとくっついて、手と体をぎゅっと抱きしめた。
嫉妬しなかったり、自分のこと責めたりするのって、彼が無邪気だから、なのかな。
こんなにも穏やかな寝息を聞いてそう思った。
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ミョンファ(プロフ) - すんしむさん» コメントありがとうございます!続編も更新頑張ります^^ (2016年12月27日 23時) (レス) id: 587a0a36a9 (このIDを非表示/違反報告)
すんしむ - すごいおもしろいです! それでは、続編今から行ってまいります! (2016年12月27日 10時) (レス) id: c07ed66232 (このIDを非表示/違反報告)
ミョンファ(プロフ) - ふぅかさん» ありがとうございます!これからもはっちゃけて更新頑張ります! (2016年12月24日 0時) (レス) id: 587a0a36a9 (このIDを非表示/違反報告)
ふぅか(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!、この後の展開がとても楽しみです!頑張って下さーい! (2016年12月24日 0時) (レス) id: 2c1116535e (このIDを非表示/違反報告)
ミョンファ(プロフ) - はばななさん» ありがとうございます!ペットのほうも読んでくださったのですね、嬉しいです。小説大好きと言ってくれることが何より励みになって、もう感動してます…これからも頑張ります! (2016年12月12日 7時) (レス) id: af06c6e6f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミョンファ | 作成日時:2016年12月7日 17時