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どうしよう、どうしようってそればかりが頭の中を駆け巡った。


私は、テヒョンのことなんて言えないくらい慰め方、よく知らないんだと気づいた。


わからない、わからないけど、テヒョンが不安になってる、だから泣いてる。


もう心配しなくて、不安にならなくていいって伝えないと……。


どうしよう、どうしよう、どうしよう。


「テヒョナ、もう置いていったりしないから、どこか行く時は絶対伝えるから、もう泣かないで、テヒョンのことが嫌になったから出ていったわけじゃないの」


「うぅっ……ひっ、Aっ、ほんとうに……っ?ほんとにやになったんじゃない?」


「本当だよ……嘘じゃないよ……ほんとにごめんね……っ」


どうしよう。私まで涙出てきちゃった。


テヒョンは唇を噛みしめて、まっすぐにみっともなく泣いている私を見る。

でも彼もまた、真っ赤な瞳からまだ涙粒を流し続けている。


幼いころ、私が泣いていた時、一体私はどうやって泣き止んできたんだろう。


母さんはその頃からジミンにしか興味がなかった。だから私が泣いていた時、いつもあやしてくれたのは近所の誰かだった。

公園で遊んでいた子、買い物から帰ってきたおばさん、仕事帰りのお姉さん、お兄さん。

時々はジミンもいたっけ。


彼らはみんな、そうだ、頭をなでたり背中をなでたり、それから……。


「A…、泣かないで……っ」


「テヒョンも泣かないで……」


私はテヒョンを抱きしめた。


深い悲しみの前では、怖いとか、嫌だとか、そんな感情なんてずっと小さいものに思える。

私は何をためらっていたんだろう。何を怖がっていたんだろう。

触れ合ったことが少ないから、そんな理由で感情がいっぱいになって、泣いていたのが本当に馬鹿らしい。

どうでもいいんだ、そんなことなんて。

私、自分ばっかりだった。


昨日泣いてる私を見たテヒョンは、こんな気持ちになってたんだろうか。

テヒョンを不安にさせて、悲しませて、泣かせて初めて気づくなんて、遅すぎるけど、気づいたよ。


テヒョンが私を抱きしめ返した。大丈夫、まだテヒョンは温かい。


「ごめんね……明日はずっといっしょにいるからね……」


「うんっ……」


テヒョンがもっと強く、しがみつくように私を抱きしめる。


なんだか、子どもだった時に戻ったような気持ちがする。


誰かのせいで泣いても、泣いてる時に誰かがいるってこんなにも、すごいことなんだ。

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ミョンファ(プロフ) - すんしむさん» コメントありがとうございます!続編も更新頑張ります^^ (2016年12月27日 23時) (レス) id: 587a0a36a9 (このIDを非表示/違反報告)
すんしむ - すごいおもしろいです! それでは、続編今から行ってまいります! (2016年12月27日 10時) (レス) id: c07ed66232 (このIDを非表示/違反報告)
ミョンファ(プロフ) - ふぅかさん» ありがとうございます!これからもはっちゃけて更新頑張ります! (2016年12月24日 0時) (レス) id: 587a0a36a9 (このIDを非表示/違反報告)
ふぅか(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!、この後の展開がとても楽しみです!頑張って下さーい! (2016年12月24日 0時) (レス) id: 2c1116535e (このIDを非表示/違反報告)
ミョンファ(プロフ) - はばななさん» ありがとうございます!ペットのほうも読んでくださったのですね、嬉しいです。小説大好きと言ってくれることが何より励みになって、もう感動してます…これからも頑張ります! (2016年12月12日 7時) (レス) id: af06c6e6f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミョンファ | 作成日時:2016年12月7日 17時

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