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ユンギさんはぽつぽつと話しだした。
今日友達になったばっかの人間に、そんなパーソナルなことまで話していいのかと思ったけど、なぜかユンギさんは私に信頼を置いているようだった。
「俺、大学に入ったんだけど、いつからか病んで退学した。その頃から母さんもだんだんおかしくなって、親父は仕事で夜遅く帰って朝早く出る。兄さんはもう独り立ちしてていない。それで母さんが、きっと寂しくなって……。お前、『エンジェル』って知ってるか?」
エンジェル。
いきなり出た単語に私は心臓を鷲掴まれた気がした。
なんでこうも立て続けに似たようなことを言われたり、似たようなことに出会ったりするんだろう。
人生って不思議だな……。
「はい、知ってます。一応」
ってかうちにいるし……。
まさかユンギさんの家にも……。
「それを母さんが買ったんだよ。でもエンジェルってさ、6千万ウォン(約6百万円)くらいするんだよ。高すぎて、んなの絶対、まともだったら買えねぇのにローンして買ってさ」
ってそのまさかだった。しかし……。
「6千万ウォン?!そんなにしたんだ……」
お祖父さんは一体、テヒョンにいくら出したんだろう。
テヒョンが、店にいるエンジェルは新規より安く買えるって言ってたけど、それでもきっと半額以上は出すよね……。
ということは、テヒョンも3千万ウォン以上はくだらない……。
すごい、破格だ。
「それで家にエンジェルが来た。もう分けわかんなくて、ほんと、その頃は俺も荒れてたから、そいつに毎日当たり散らしてた。本当は母さんのせいなのに、そいつに当たってた。悪い、女のお前にこんなこと言って、怖いよな」
「いえ、いいんですよ。怖くなんてないです。同じ状況だったら私だってそうしたかもしれませんし」
ユンギさんが私に親しみを感じていた理由が、だんだん分かってきた。
私も母との折り合いが悪くて、結局喧嘩して家を飛び出してきたようなものだった。
それでお金もなくて、もちろん母は仕送りなんてしようとも思わなくて、そのうえ、その歳に弟のジミンが私立の高校に上がるからなおさらお金はなかった。
「私も似たような人間ですよ。家族と仲が悪いんです」
「そうだったのか」
「それに、ここも似てますよ?家にエンジェルがいるってとこ」
「な……本当か?」
「本当ですよ!しかも昨日からですけど」
超偶然だけど、ユンギさんと本当に仲良し友達になれるかも。
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ミョンファ(プロフ) - すんしむさん» コメントありがとうございます!続編も更新頑張ります^^ (2016年12月27日 23時) (レス) id: 587a0a36a9 (このIDを非表示/違反報告)
すんしむ - すごいおもしろいです! それでは、続編今から行ってまいります! (2016年12月27日 10時) (レス) id: c07ed66232 (このIDを非表示/違反報告)
ミョンファ(プロフ) - ふぅかさん» ありがとうございます!これからもはっちゃけて更新頑張ります! (2016年12月24日 0時) (レス) id: 587a0a36a9 (このIDを非表示/違反報告)
ふぅか(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!、この後の展開がとても楽しみです!頑張って下さーい! (2016年12月24日 0時) (レス) id: 2c1116535e (このIDを非表示/違反報告)
ミョンファ(プロフ) - はばななさん» ありがとうございます!ペットのほうも読んでくださったのですね、嬉しいです。小説大好きと言ってくれることが何より励みになって、もう感動してます…これからも頑張ります! (2016年12月12日 7時) (レス) id: af06c6e6f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミョンファ | 作成日時:2016年12月7日 17時