嘘つきと素直とわたし (ページ46)

今日:30 hit、昨日:16 hit、合計:139,988 hit

45 登坂side ページ46

そうは言っても、仁香とのことはやっぱり簡単にいくことじゃなかった

.

久しぶりに入った病室

少し痩せた仁香は眠っていた

仁「ー広臣？」

臣「ごめん起こした？」

仁「ううん、来てくれて嬉しい」

しばらくいろんな話で盛り上がって

病室で友達ができた、とか

最近母さんの物忘れがひどくて困る、とか

元気にしてることに、安心する

…俺も
ちゃんと、言おう

大事にしたいものができたって、

前に進みたいんだって

だから仁香にも前に進んで欲しいって。

臣「仁香…おれ、さ」

仁「言わないで」

臣「え？」

仁「やだ、聞きたくない」

臣「仁香」

仁「いやだっ、！」

大きな声をあげて俺の胸押した

少し震えた身体を見て、俺は何も言えなかった

臣「ごめん。」

.

『今日はもう帰って』

そう言われて俺は病室から出た

あんな仁香、初めて見た

俺は仁香に初めて拒絶された

母「広臣」

臣「母さん」

母「広臣…何度も言ってるけど、
お姉ちゃんがあーなったのは、会社でのいじめが原因で
あなたのせいじゃないのよ。

あなたには幸せになってほしい
自由に生きてほしいの

ここにだって、無理に来ないでいいんだし…」

臣「わかってるよ。

でも、向き合いたい
おれ逃げたくないから。

だからまた、来るよ」