story of love ３

いくつもの恋が生まれて（赤×緑） ページ1

side.緑
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「神ちゃーん、帰ろー！」



ドタドタと廊下を走る音が聞こえたと思えば、ぴょこっと教室のドアから顔を覗かせる幼馴染のしげ。





特徴的なその声と、俺に向けられたその笑顔に胸がきゅんってなった。






俺はちっちゃい頃からずっとしげのことが好きやった。




しげに対する「好き」の感情は幼馴染としてでも、親友としてでもなく、恋愛としての「好き」やと気付いたのは割と最近で。





多分、今までは自分のこの気持ちに確信を持ちたくなくて必死に気付かないフリしてたんやと思う。






廊下を2人で並んで歩けば、俺よりもちょっぴり背の高いしげにまた1人で勝手にドキドキして。





たとえこの恋が叶わないとしても、こうやってしげの隣におれるだけで幸せなんよね。









「…神ちゃん、見て」



こつんとしげに腕を小突かれて視線を送ると





「おー…」




照れたように笑う女子と照れ臭そうにしてる男子が目に入って、あー…これは告白に成功したんやなって分かった。








「ええなー」




しげはお幸せにー、なんて言うて小さく拍手してる。








「…しげ？」


「な、羨ましない？」


「…うん、まぁ…」


「俺たちもあんな風になってみぃひん？神ちゃんとならなれそう」


「はぁ？！」





くふふっとイタズラっ子みたく笑ってるしげ。







「ホ…ホンマに言うてる…？」


「俺はいつでも本気やで？」







絶対に叶わない恋やと思ってた。




叶うはずなんかないって思ってたのに。







「つ…付き合う…っ！」









今日は確かに恋が生まれた日。



(END)

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