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side.赤
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地獄のテスト返却も、残るはたこの現代文だけ。
赤「あぁぁ…」
行きたくなさすぎる。
なんでわざわざお昼前に職員室まで。
さっきの授業の最後にでも返してくれたらよかったのに。
桃「ついてこか？」
赤「大丈夫。 よし、行ってくる」
大丈夫、大丈夫。 いつも通り。
何を言われても、どんな顔されても、 いつも通りに。
赤「ふぅー…」
お昼前に職員室の前って言うたのにおらんし、なんなら職員室の中にもおらんし。
赤「……」
肌寒い廊下。
胃がキリキリしてくる。
… 俺、こんなに弱かったかなぁ。
身体も、メンタルも。
たこに良く思われてないことなんて、どうでもよかったはずやのに。
重岡、と呼ばれて慌てて振り返る。
どこにいたのか、ぐちゃぐちゃになった俺の答案用紙を持ったたこが怖い顔をして後ろに立っていた。
赤「あ…」
クラスの平均は78.6点。
赤点者は俺だけ、とたこ。
比較的、点数を取りやすい現代文で俺だけ赤点。
そんなこと言われなくても分かってた。
返された答案用紙は改めて見ても最悪で。
ほとんどが空欄。
辛うじて埋まっているところもミミズみたいな文字で、書いた俺でさえ読めなかった。
体調の悪さがピークの中、酷すぎる腹痛で途中退席した現代文のテスト。
赤「っ…」
高校受験の時の悪夢が蘇ってくる。
今回と全く同じ症状で、高校受験ほとんど全滅。
本格的に体調を崩す前に受けた、今通ってるここだけが唯一合格してた。
実家からの距離が遠すぎて一人暮らしを余儀なくされたけど。
可愛く生きたくて、俺。
ドジでおっちょこちょいで、みたいなことやなくて余裕を持って生きるっていうか。
全てに対してメラメラとしたやる気があるわけちゃうけど、余裕持って生きたいから勉強とかも別に苦じゃなくて。
けど、弱い身体のせいで日々努力して手に入れた余裕が全部どっか行く。
でもそれも、俺からしたら全然珍しいことやないの。
そんなんしょっちゅうやから。
俺はいっつも、余裕を持つことに余裕を持ちたくて毎日コツコツ頑張ってる。
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作者名：モム
| 作成日時：2024年1月9日 0時
