どうせ愛なんて

33. ページ33

side.桃
_


はじめての大毅さんの家。





いっちばん最初に出会ったときは「家知られたくない」って言うてたけど、大丈夫なんか…？




てか待って、そもそも大毅さんは俺が来ること知ってる…？







桃「えー… もうほんま何、」





大毅さんが身体を売ってる、って知ってから大毅さんに会ってへんしさ。




どんな顔してええのか分からへんもん。







桃「…」





部屋ん中も真っ暗やし、もうほんま何やの！！？




と、








桃「あ、大毅さん…」





大毅さんはリビングにおった。




やけど寝てる。






疲れてるんかな。








桃「風邪ひきますよ」




暖房ついとるけど、部屋は乾燥しとるし。





大毅さんの周りにはハイボールの缶がたくさん転がっていた。




それ以外はめっちゃ綺麗やけど。







…荒れてんのかな、大毅さん。






桃「……」




と、ここで神山さんの「俺じゃ無理やったから」という言葉を思い出す。









もしかして。







大毅さんは今、何かに困っていて





それは俺にしか解決出来ない。








桃「…」





期待、してええのかな。







神山さんは俺にチャンスをくれたってことでええのかな。





もしかしたらきっと、神山さんも大毅さんのこと………







桃「いや、」




考えるのはやめよう。








神山さんでも無理やったんや。






大毅さんを救ってあげられるのはもう、




俺しかいない。

34.→←32.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す