story of love ５

生まれ変わってもまた出逢いたい ３ ページ10

side.橙
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赤「あ…」





しげは玄関に入るなり声を上げる。









橙「ふふっ、お気に入りなんよ」






しげの目線の先には、あの椅子。






そう、コンサートで演奏してた時に俺が座ってた、メンバーがメッセージを書いてくれた思い出のあの椅子。









赤「懐かしいなぁ… まだ1年も経ってへんのに」


橙「ほんまな」






しゃがんで愛おしそうにその椅子を眺めているしげをそのままに、俺は水を取りにキッチンに向かう。









冷蔵庫から冷えた水を出して一気に飲み干すと、いつのまにかしげもこっちに来ていた。






ダイニングテーブルの前にちょこんと座って、ボーッと一点を見つめとる。









…好きやなぁ









なんて、分かりきってることを改めて思ってみる。









今回のユニットを経験してから、しげへの接し方が随分と変わった気がする。









なんやろ。









絶対に上手く言える自信は無いねんけど、根本的に…というか。









しげのこと、今まではやっぱり「年下で後輩やけど、センターのど真ん中に立ってる奴」っていうイメージがどうしても拭えんくて。







しげは、それでいて「仲間」であり「ライバル」でもある。









同じステージで輝いてることに変わりはなかったはずやのに、どうしてやろう。









そのことに気付けたのは、この乗り越しラブストーリーを経験し終えてからやった。









しげが書いてきてくれた歌詞を初めて見た時、胸の中があったかくなって、それと同時にちょっぴり苦しくなったんよね。









この苦しさの正体は未だによぉ分からへんけど。









「あぁ、しげも成長したんやなぁ…」って、泣きそうになったことは覚えてるで。



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