硝子の涙 7 【OS 】

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〜和side〜


わかりやすく そう。


簡単に。



・

「あ！おはーっ！

ねね！今朝のラジオ！！

KAZの新曲聴いた！？」



「おはよ！当たり前じゃーんっ！

めっちゃ良い曲過ぎて、朝から泣いたわ〜」




きみも僕もわかるくらい簡単に。



伝えてみよう。





・



「でもさ、噂によるとあの曲って
前曲の続編で亡くなった彼女に向けて
作られた歌なんでしょ？」


「えぇ、まじで？そうなん？
なんかショック…」




「ううん。違うよ」




好きなんだよ＿＿＿＿






「ファンにそう思われるのが、嫌だから

前回の曲を女性目線で書いたんだって。

本人が、雑誌のインタビューで言ってたよ」






・



雲一つと無い、快晴。


天空に水彩絵の具を撒いたかの様な澄んだ青空。


ステンドグラスから漏れる朝の光と
ポインセチアの紅一点の色彩が
冬の教会を彩っていく中


扉の外では、登校中らしき数人の女子高生達の
弾みがちな声が響いてきた。


…良かった。


思ったより、反響はあったみたいだ。


早速、感想を聴かせてくれた御礼と
盗み聞きをしたお詫びに
そんな短いスカートでこの真冬を
乗り切れる策があるのだとしたら
是非とも、伝授を願いたい。




そう言えば、もうすぐ卒業シーズンかなんて


桜の蕾さえ、姿を見せないでいるのにも
関わらず


数年前の自分なら、心に思いもしない様な戯言を
脳内のキャンバスに描く。


思わず緩む口角は、敢えてそのままに。



聖母マリア像の下に鎮座している
グランドピアノの椅子に腰掛け
鍵盤をポロン、と沈ませていると






「有名人が、こんな所に居ていいのか」




ピアノの音色の中、耳を掠めたのは


こんな朝に相応しい


凛とした気品溢れる暖かな声。




「あらま。気付かれちゃいました？」


「伊達に誰かさんの兄貴やってないからね。

やっぱりここに居たのか、和」


「ふふ。おはよう翔さん」



「おはよ。騒ぎになる前に出るぞ。

美鈴がそろそろ、地団駄踏み過ぎて
地面がヒビ割れしそうだから」



「はいはい、仰せのままに」









息が白づき始めた、人肌恋しくなるこの季節









あいつが、空に消えてから





2度目の冬がきた

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