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〜翔side〜
・
「ごめんな、突然こんな話して。
この後も、新居の最終内見が入ってっからさ
あまり、ゆっくり出来ないんだ」
「そ、うなんだ…」
泣くな＿＿＿＿＿＿
笑え
長年慕い続けてきた人の門出なんだから
こんな俺なんかにずっと
独りじゃ、何も出来ない失敗作の俺に
15年以上も付き添い続けてくれたんだから
あぁ、俺って本当に
この人が居ないと何も出来ないんだな
なんて
今更、後悔しても
もう遅い
「あ、そんでね？
翔くんにも書いてもらいてぇ書類あるんだ。
住所とかは書いといたから
署名と捺印だけ貰ってもいい？」
手元のクリアファイルから数枚の書類を
数枚取り出して、何やら席を立った智くん。
正直、まともな精神状態を保てないでいる今
書類に目を通す気力も筆を持つ勇気もないけど
これは、彼が決めた覚悟の証
本当に好きなら
その背中を押してあげなきゃいけない筈なんだ
苦渋を飲む気分でクリアファイルに
震える手を伸ばすと
「…………、ぇ」
自分の目を疑った
取り出した書類に書かれていたのは
『養子縁組届』
「俺ね。この前会社のインタビューで
聞かれたんだ。
"結婚するなら、どんな相手が良いですか？"って」
「俺はね、強がりで…意地っ張りで。
そんで、他人の痛みまで
背負い込むお人好しだけど」
なに、これ…
「中身は誰よりも気高くて儚くて
自分の涙を引っ込めてまで
他人の幸せを願える様な奴で」
「あと、目はでっけえ方がいいな。
唇も赤くて、肌も雪みたいに白くて
誰も取りゃしねぇってのに口パンパンに
俺が作った料理を、いつも頬張ってくれて
笑顔がうんと可愛くて
この世の誰よりも、愛しい奴」
聞いてない
こんなの
「もう 我慢しなくていいんだよな」
「…っ、！」
強く強く掻き抱かれた身体
状況が読み込めなくて
首筋に感じる切羽詰まった息遣い
背後から伸びてきたしなやかな手に
絡められた刹那
役目を思い出したかの様に
目尻からポロポロと
硝子の様な涙が次から次へと溢れ出す
「さ、と…っ」
スルり、と左手の薬指に通された
ルビーをあしらったシルバーのリング
覗き込む様に近付いてきた綺麗な顔に抗えずに
「ねぇ、翔くん？」
不意に柔らかく、重なった互いの鼓動
「そろそろ、ほんとの家族になろっか」
fin
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星羅*(プロフ) - きよさん» きよさん！泣 コメントありがとうございます！更新めちゃくちゃ遅くなってしまって大変申し訳ないです！人が悪くなっちゃいました、かたじけない笑 この続きはいつかお見せできると嬉しいですなぁ＾＾お付き合い頂き本当にありがとうございました！ (2019年12月11日 20時) (
レス) id: d56f518aff (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - 星羅＊さん、更新きたぁ！と思ったら「えっ、まさか！？ 」な展開。そんなわけないですよねぇ人が悪い (笑)。 翔くん、本当に良かったです。和くんもちゃんと立ち直って良かった。この幸せの続きがきになりますが、完結お疲れさまでした。 (2019年12月11日 18時) (レス) id: 7f433b7b81 (このIDを非表示/違反報告)
翔ちゃむ - すこぶる可愛い翔くんに翻弄されてる智君がとても好きです！！お山の2人は勿論紅羽ちゃんの行方がとても気になります…ニノとの今後のやりとりがとても楽しみです。お忙しいとは思いますがこの作品の一ファンとして心待ちにしてます！！ (2018年10月14日 23時) (レス) id: e8e7665cca (このIDを非表示/違反報告)
翔ちゃむ - 星羅さん、移行お疲れ様です！動き出した新たな展開にドキドキが止まらない一方で、もうひと波乱あるのではないかと、目が離せません！ (2018年10月14日 23時) (レス) id: e8e7665cca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星羅*
| 作成日時：2018年10月8日 17時
