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〜和side〜
｢何があった？｣
｢……｣
目の前には仁王立ちする翔さん。
あの男の人が帰ってから
2人の会話を盗み聞きしていた事がバレない様に
たった今帰って来たかの様に装った。
しかし、家に入り直した音でまんまと
翔さんに見つかり今はソファに座らされている。
｢なんで帰って来た。学校サボったのか？｣
｢……｣
"なんで…？"
翔さんの口から出たそんな愚問。
そんなの…理由は一つに決まってる。
｢…わからないんですか…？｣
その、顔を見ていると段々と抑えていた
心の中のモヤモヤとしたわだかまりが
｢っ…僕はっ！貴方のせいでっ……！｣
一気に沸き起こってきた。
きっと、心のどこかで期待していた。
この人は…ほんとは僕のこと
認めてくれてるんじゃないかって。
熱で倒れた時も。
お義父さんに暴行されそうになった時も。
冷酷な裏に垣間見れた翔さんの優しさ。
ほんとは僕のこと…
少しは想ってくれてたんじゃないかって。
｢…なんだよ。｣
じろりと睨みつける冷たい瞳。
まだ、気付かないんですか…？
あなたの友人に…
僕がどれ程…苦痛を与えられてきたか。
｢翔さんは…自分だけ守れれば
それでいいんですか…｣
｢…は？｣
蓄積された凍りかけた心の叫び。
もう…耐えきれない…
気付けば…口が勝手に動いていた。
｢大野さんにさえ嫌われなければ…
血の繋がりもない僕の事なんて…
どうでもいいんですよね…？｣
｢な…に言ってんだよ…急に…｣
声が震えている。
その焦った様な顔が…何よりの証拠。
｢どうして…気づいてくれないの…？｣
僕は…一体アナタの何なんですか…？
視界がどんどん滲んでいく。
｢僕のこと…っ…偽りでも家族だと…
想ってくれた事…1度でもありましたか…？｣
｢……｣
｢っ…だったらもう…！
たまに優しくしたりしないでくださ…｢ねぇよ。｣
僕の声を遮って…聞こえた否定の数文字。
｢お前を…そんな風に思った覚えは…
1度もねぇ。｣
迷いなく、紡がれたその言葉に。
パリンッ
心が……割れた音がした。
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作者名：星羅
| 作成日時：2017年7月14日 2時
