硝子の涙 2【OS】 (ページ39)

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～和side～

｢…どうして僕を？｣

｢え？｣

今まで、助けてくれるクラスメイトなんて
誰も居なかったのに。

いつも、全員ただ黙認しているだけ。

それなのに、何故この人は……

｢二宮君…だっけ？

あなた、ほんとは、してないんでしょ。｣

｢え…？｣

｢カンニング。｣

思わず目を見開いて、前を見据える
彼女を凝視した。

｢なんで…｣

すると、彼女はおかしそうに眉毛を下げて

｢だって、貴方私の隣の席でしょう？

私、テスト中ずっと見てたもの貴方のこと。｣

｢えっ…｣

｢机に伏せて、ずっと横向きながら
見てたの、貴方のこと。

寝たフリしてただけどけどね｣

クスクスと笑いながら、明るくそう言った。

｢筆箱を出してた訳でもなければ前の席の
櫻井君を見てもない。ましてや初対面の私は
まず対象外。カンニングしてる素振りなんて
私は一切見なかったけど？｣

黙り込んだままの僕を気にも留めずに
淡々と話し続ける咲田さん。

｢だから、助けたのよ。

貴方が潤に責められる理由なんて
何一つ無かったもの。｣

…僕は正直戸惑っていた。

｢…助けて頂いて…ありがとうございました。
でも…｣

｢ん？｣

僕を庇ったせいで…この娘まで…

明日から、待つ日常に彼女まで
巻き込んでしまったのではないだろうか…。

僕は、ただただ複雑だった。