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〜和side〜
長いようで短かった週が明けた。
いよいよ、期末試験当日。
生徒達は各々机に座り教科書やら単語帳やらを
必死に見返し直前のテストに備えている。
今、足掻いても間に合わないだろうに。
いつも、授業でふざけてる連中が必死に教科書と
睨めっこしている様子を目にすると
どうしてもひねくれた感情が出てくる。
そっと、前の大野さんの席に目を向けると…
いつもの眠そうな顔とは一変し、
何やら真剣な顔で口を動かしている。
｢この問題はええっと…
sinA cosB=1/2{sin(A+B)+sin(A-B)}で…｣
狂気迫る感じでひたすら三角関数の積和公式を唱えていた。その身体からは異様なオーラが出ている。
一方、その横ではそんな大野さんを見守る様に
見詰めている翔さん。
机上には単語帳の1つも乗って居ない様子から、
彼がいかに余裕があるかが、見て伺える。
｢もぉーっ、いやだーーっ！
翔ちゃん、助けてぇぇ！｣
｢うおっ！？が、頑張れ雅紀…｣
｢もう！！何でそんなに笑ってられるのさぁ…！
俺、もう既に知恵熱出そうなんですけどっ!!｣
"勉強"という２文字がとことん嫌いらしい
相葉さんがいつもの様に翔さんに泣きつく。
テスト前だというのに、無理に追い払おうと
しない翔さんはお人好しなんだか何なんだか。
｢…じゃあ、雅紀。この漢字何て読む？｣
見計らった彼が、漢字冊子を手に取り
ある文字を指さす。
｢ん〜？西山君の趣味は[殺陣]です…
あ！これ、俺解るよ翔ちゃん！！｣
｢なーに？｣
｢さつじん！！｣
シー…ン…
一瞬、教室の空気が止まったのが解った。
｢あれ？違うの？｣
｢ちょっ…雅紀…っ…
テスト前に笑わせんなよっ…むり…っ｣
そんな中、翔さんだけは肩を震わせて
必死に笑いを堪えていた。
勝手に犯罪行為を趣味にされてしまった
問題の西山君に軽く同情する。
そんなことを尻目に思ってると
今まで黙っていた大野さんが顔を上げた。
｢…ねぇ、相葉ちゃん。｣
｢ん！？なぁに、大ちゃん。｣
｢…うるさい。｣
ピシャッと放たれた大野さんの
冷たい一言に相葉さんはと言うと…
｢うわぁぁあん！
大ちゃんのバカぁぁっ！(๑ १д१)｣
まるで、絵文字の様な泣き顔で自分の席に走って
戻って行った。
｢さ、智くん…何か凄いやる気だね…？｣
｢翔くんもちょっと黙ってて。｣
｢は、はい…すいません…｣
そんなに翔さん家、出禁になりたくないのか…
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作者名：星羅
| 作成日時：2017年7月14日 2時
