7. 勘違い ページ9
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「上層部の連中には言ってある。虎杖悠仁を殺しても構わない。ただし、事故に見せかけて殺せ、と」
じゃあ悠仁を殺そうとした奴は、Aの言う通りにしたというだけ?
罰もくそもないじゃないか。
そいつはただAに従っただけなんだから。
「なんでその事を僕に教えてくれなかったの」
「教える必要、あった?」
「教えてくれたら悠仁を殺させたりなんかしなかった。Aは悠仁に死んでほしいの?」
Aは僕の問いには答えなかった。
ただ少し不思議そうに首をかしげていた。
「ずいぶんと、虎杖悠仁を気に入っていたんだね」
「悠仁は底抜けに明るくて優しい子だから。それに、もっと強くなれるはずだった」
これから悠仁を鍛えて、そう簡単には殺させないようにする。
悠仁はもっと強くなる。
「勘違いしているよ」
Aは笑っていた。
「お前は虎杖悠仁に情が移ったりなんかしていないよ。もったいないと思っているだけだ。使える駒を殺されて不快なだけだ。だから所詮はお前も、人を道具としか思っていないんだよ」
そうかもしれない。
呪術界を変えるには力が必要だった。
悠仁は僕の夢のための道具、だったのかもしれない。
「虎杖悠仁の綺麗さに眩暈がして、感化されて、ない優しさをかき集めて着飾った。それが情だと勘違いしているんだよ。お前は」
そうかもしれない。
でも、
「Aが決めつけてるだけじゃないの?」
確かに最初は宿儺の器なんて殺すにはもったいないと思っていた。
ただそれだけのことだった。
でも今は違う。
ちゃんと、一人の大切な生徒として悠仁を見ている。
あの子が僕を先生として慕ってくれているなら、それに応えられるよう、僕は僕なりの優しさで接してきた。
「上辺だけの優しさでも、勘違いの情でも、僕は悠仁を道具だなんて思ってないよ。今は。勘違いしているのは、Aなんじゃないの」
なに言ってるんだろ。僕。
ご機嫌取りしてる訳じゃないけど、これは百発百中怒られるでしょ。
言葉だけじゃすまないかもしれない。
久しぶりに殴られるかも。
...でも、まあいいや。
なんかスッキリした。
Aを見た。
なにを思っているのか分からない。
笑ってもいないし、怒っているようでもない。
「驚いた。そんなこと言うんだね」
そう小さく言ったかと思えば、おもむろに立ち上がって僕を抱き締めた。
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ピエリッタ(プロフ) - こおりさん» コメントありがとうございます!低評価なのはこの作品を上げた際、オリ/ジナルのタグを外し忘れたからだと思います💦挽回できるよう更新頑張りますね! (2022年7月26日 17時) (レス) id: 916fe9a51a (このIDを非表示/違反報告)
こおり - めちゃくちゃ面白いです!! 更新頑張ってください!楽しみにしてます!! なぜ低評価なのかが意味わかりません、、、。 (2022年7月26日 15時) (レス) @page9 id: 7142da3b96 (このIDを非表示/違反報告)
ピエリッタ(プロフ) - 舞さん» コメントありがとうございます!こんなに早くもらえるなんて...!ご期待に沿えるよう頑張ります! (2022年7月21日 8時) (レス) id: 916fe9a51a (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2022年7月20日 19時) (レス) @page5 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
ピエリッタ(プロフ) - あ、本当ですね!ご指摘ありがとうございます。もう一度ルールを確認しますね。失礼しました。 (2022年7月20日 17時) (レス) id: 916fe9a51a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピエリッタ | 作成日時:2022年7月20日 17時