検索窓
今日:11 hit、昨日:2 hit、合計:4,382 hit

9. 所詮空っぽ ページ11



なんでそんな顔してるの?


歪む視界の中でAはなにかを拒絶するように顔をしかめていた。


Aの手が首から離れて大きく息を吸い込む。


僕の頬に触れる指先は冷たくて、どこかに消えてしまいそうだったから、慌ててそれを掴んだ。


「......辛いの?A」


真っ黒な瞳がぼんやりと僕を見つめる。


掴んだ手を絡めて今度は僕がAの頬を撫でた。


滑らかな陶器みたいな白い肌。


Aはゆっくり瞬きをして力なく笑った。


「ごめん、やりすぎた」


別にいい。


Aになにをされたって僕は構わない。


僕はAの全てを肯定できる。


Aが大好きだから。


僕の中に意味だとか意義だとかは正しく存在しないんだと思う。


あったとしてもあやふやで、借り物のよう。


借りたとしたら傑とAから。


術師の家庭に無下限と六眼の抱き合わせとして生まれてきたから、特に考えることもなく呪術師となった。


呪術師になったから特に疑問を持つでもなく、呪詛師を殺して呪霊を祓った。


非術師を守る意味なんてまるで分からなかったけど、傑が教えてくれて、僕は見よう見まねで正しさを持った。


僕は所詮空っぽだった。


二人が殺していいと判断すれば罪のない人間だってなんの疑問も持たずに殺せる。


傑がいなくなった今、僕の中にある意味はAだけで、Aがなにをしようと僕は肯定できた。


「僕、Aが好きだよ」


額と額をくっつけて呟く。


「ずっとそばにいる。だから、そんな顔しないで」


お願い。


吐き出すように告げた言葉は最後まで言えたかどうか分からない。


僕は吸い付くように唇を重ねた。


頬を撫でる。


着物に手を掛ける。


Aは拒絶することなく僕を受け入れてくれた。






***

五条の心情は作者の勝手な解釈です。

ファンブックでも夏油の判断を善悪の指針にしていたと書かれているので、旧■■村に二人で行っていたら五条も呪詛師に落ちていたのかな?とか。

呪術師最強である五条悟が一番イカれてると思うんですよね。

人を殺しても特に何も思わなそう。

10. ごく自然な殺意→←8. 蝕む毒



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 5.8/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
48人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ピエリッタ(プロフ) - こおりさん» コメントありがとうございます!低評価なのはこの作品を上げた際、オリ/ジナルのタグを外し忘れたからだと思います💦挽回できるよう更新頑張りますね! (2022年7月26日 17時) (レス) id: 916fe9a51a (このIDを非表示/違反報告)
こおり - めちゃくちゃ面白いです!! 更新頑張ってください!楽しみにしてます!! なぜ低評価なのかが意味わかりません、、、。 (2022年7月26日 15時) (レス) @page9 id: 7142da3b96 (このIDを非表示/違反報告)
ピエリッタ(プロフ) - 舞さん» コメントありがとうございます!こんなに早くもらえるなんて...!ご期待に沿えるよう頑張ります! (2022年7月21日 8時) (レス) id: 916fe9a51a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2022年7月20日 19時) (レス) @page5 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
ピエリッタ(プロフ) - あ、本当ですね!ご指摘ありがとうございます。もう一度ルールを確認しますね。失礼しました。 (2022年7月20日 17時) (レス) id: 916fe9a51a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ピエリッタ | 作成日時:2022年7月20日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。