陸 ページ8
「ん...」
目を覚ますと、飽きるほど見上げた天井が視界に入る。
息をする度に痛む体と、体の左側に感じる温もりに天元は目を見開き困惑した。
「なんで、俺、生きて...」
「天元...？...っ！！天元！！」
その呟きで、起こしてしまったらしい。声の聞こえた方を見遣ると、思ったよりも至近距離にAの顔があって困惑する。
天元は痛む体を庇いながら、Aの頬に触れた。
痩せたような気がする。
「.......姉貴」
「...っう〜...」
Aの顔は既に涙でぐちゃぐちゃで、己の頬に触れている天元の手を強く握っている。
「あぁ、もう...。泣くな...」
「うっさい馬鹿天元！どれだけ心配したかっ...。大体、何よその呼び方！この間はAって呼んだくせに！」
「ばっ、馬鹿...？」
暴走している。今のAの状態を現すとそれが正しいだろう。
馬鹿と言われた天元はたじたじだ。
「何が俺のために泣いてくれて、よ！当たり前じゃない！だって.....あっ」
「...だって、何だよ？」
天元はAを引き寄せて抱きしめた。なんだか、この先はこうして聞いた方がいいと思ったのだ。
理由は分からない。でも、こうした方がいいと直感で分かった。
「...A？」
Aの顔は真っ赤で、それでも天元から目をそらさない。
じっとこちらを見つめてくるAを天元が呼ぶと、ぽすっと音を立てて天元の胸に顔を埋めた。
そして、絞り出すような声で。
「...................すき」
「...っ！」
「好きよ、天元...好き...。す、んっ」
気がついたら唇を奪っていた。
この間よりも長く、深く。
「てん、げ...ん。まっ...んぅ！」
息苦しさに開いたAの咥内に舌を差し込み、己のそれを絡めてさらに息を奪う。
「んん...はっ」
天元が唇を離すととろりと二人の間に銀の糸が伝い、それがまた天元の欲を刺激する。
「あっ..天元...っ...傷開いちゃ、んっ」
「.....A...」
いつの間にか体勢は変わっていた。
Aの上に天元が覆いかぶさって身体中に口付けを落とし、息も絶え絶えなAのあってないような抵抗を無視し帯を緩める。
「駄目か？」
答えなんて分かりきっている。それでも敢えて聞いた。
天元は欲してるのだ。Aからの免罪符を。触れてもいい権利を。
「.........優しく、して」
「善処は、する...」
天元は再びAに深く口付けた。
二人の長い夜は始まったばかりだ。
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美貴(プロフ) - 早く続きが読みたくなりました。応援してます。頑張って下さい。 (2020年2月3日 22時) (
レス) id: 90d314c778 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆友(プロフ) - 夏蜜柑さん» コメントありがとうございます！出来るだけ速く書こうと思ってますので、これからも応援お願いします！！ (2020年1月26日 10時) (レス) id: 3d9f00433a (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - このストーリー好きです\(//∇//)\)更新頑張ってください！応援してます (2020年1月26日 9時) (レス) id: 1f2db930a1 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆友(プロフ) - ルイさん» ありがとうございます！亀更新ですが頑張ります！！ (2019年11月24日 13時) (レス) id: 3d9f00433a (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - すごく面白いです。更新頑張ってください。 (2019年11月24日 12時) (レス) id: e495d80177 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竜胆友 | 作成日時：2019年11月16日 15時
