【СR】彼との生活は危機一髪？【selly】 (ページ13)

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第12話心配ページ13

「A〜〜！！」

sellyがガバッと私に抱きつく。
相当慌ててたのか、額に少し汗がにじんでいる。

「selly、朝から騒がしいね。」

「誰のせい。」

心配そうな嬉しそうな顔でこちらを覗いてくる。
私はどういう気持ちで彼の愛を受け取ればいいのだろうか。

「ねぇ、selly。ご飯とかどうしてるの。」

「あー……ごはん？」

すーーっとsellyの目が逸れる。
先程までの勢いはどこへやら、まるでイタズラをしてしまったあとの犬である。

両手でsellyの顔をガッチリとホールドし、こちらに強制的に向かせる。

「…食べてないの？」

困ったように口を噛み、相変わらず目線は上の空だ。

「selly、ご飯作ってあげる。一緒にお買い物に行こう。」

「…A、逃げる？」

八の字のまゆで、今度は下を向く。
そんなに自信が無いのに、どうして誘拐しちゃったの。

「逃げれるわけが無いでしょ、知らない国で。」

納得したのかsellyは腰に手を回し、顔をお腹に擦り付けてくる。何となく、目の前にある頭を撫でてやるとお腹の方からふふふと嬉しそうな声が聞こえた。

なんとなく、幸せなのかもしれない。
これでもいいかも。

心の中で、この生活に流されつつある自分がいた。
仕事に追われて嫌なこともあったが、充実した生活を送っていたあの頃も楽しかったけれど。

sellyからの愛を感じながら過ごす、なんにもないような日常も悪くないのかも。

いや、よくない！
普通に犯罪だし！私だって自由に生きたい！

自分の流されやすい甘ったれた気持ちを振りほどき、sellyとの買い物の準備をすることにした。