【СR】彼との生活は危機一髪？【selly】 (ページ1)

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第1話運命の分かれ道ページ1

会社終わりの金曜日。

決まって私は、とあるBARにいく。

好きなお酒とかがあるわけじゃないけど、
そこのお店の雰囲気や知り合った人に出会うのが楽しくて、毎週通うのが私の楽しみになっていた。

世間はまさにウィンターブーム。
イルミネーションがあちらこちらにちらほらと見受けられる。

冷たい風を浴びてマフラーをキュッと締めた。

少し裏道を通って、木製の小さなお店が私の行きつけのBARである。足早に扉に手をかけ、少し重いその扉を引いた。

けどその日は、見知った顔もなければマスターも違う人だった。マフラーを解き、コートを脱いで、マスターにお酒を注文する。

その時、運がいいのか悪いのか私は声をかけられた。
これが全ての始まりだった。

「お姉さん、一人？」

「え。そう、だけど。」

「じゃあ隣いいね。」

私の右隣に突然詰めかけてきた男性は、マスターにお酒を頼み始めた。

出てきたのはスクリュードライバー。
ウォッカをオレンジジュースで割った、口当たりのよいカクテルだ。

「あげるよ、おごり。」

「...あなたは？」

「俺はいい。もう酔った。」

ズカズカと人の懐に寄ってきた割にはツンケンした態度をとる彼。

「お姉さん、名前は。」

「...A」

「へー、A。かわいい。」

カランカラン、と扉のベルの音がする。
複数人分の足音が響いたかと思えば、こちらにその音は近づいているようだった。

『おい〜、selly。こんなとこで何してんだ。』

『シーバr...なんでお前がいるんだよ。』

驚いた。

突然ナンパ男から流暢な韓国語が出始めたもんだから。

確かに見た目は日本人っぽくないかもなと思ったけれど、あまりにも日本語がペラペラだから。

『兄さん、ナンパしてるの？』

『CPTには一生縁がないだろ。黙ってろ。』

『なんで...酷い...。』

「あ、あ、あの...。私行きますね？」

おごってもらったお酒に口もつけず、コートとマフラーを握って席を立つ。

扉へと早足でかけていくと、ナンパさんに腕を掴まれた。

「これ、持ってて。また明日、ここで会おう？」

半ば無理やり空いてる方の手で握らされたものは、小粒の綺麗な赤い宝石のついたネックレスだった。

何も言い返せない私は、約束を頭に張りつけたまま自宅のマンションまで走って帰った。