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それからまた一悶着あったが、なんとか小芭内が落ち着きを取り戻したため漸く散髪が始まった。
未だに緊張している小芭内に向かって「大丈夫よ」と言いつつ、私は切られた長い髪が風で飛ばされてしまう前にせこせこと広い集めていた。
艶「そうねぇ、あまり切りすぎたら折角の綺麗な髪が勿体ないからサイドは少し長めに残しておいた方がいいわね……。
前髪も短くするよりは長めの方が……」ブツブツ
迷いなく鋏を切り進めていく姿はどこか頼もしくもありつつ不安でもあるが、腕前は確かなので変な髪型にはならないだろう。
伊「紫陽さん紫陽さん」
「心配しなくても大丈夫、信じなさい」
いつも通り無表情ではあるものの、目は口ほどにものを言うというかなんと言うか。
怯えや不安がひしひしと伝わってくる。
緊張からかいつもより力強く鏑丸を抱きしめており、鏑丸が苦しそうに尾を振り乱していた。
そんな様子を見てホウスケは「ホーホホーホー(平和だねー)」と言ってのんびりと日向ぼっこを堪能しているみたいだ。
呑気なやつめ。
そして艶島さんが髪を切り始めてから数十分後。
艶「んー、なかなかいいんじゃないかしら!
Aちゃん、鏡持ってきてくれない?」
「わかったわ」
私は自室から小さな懐鏡を持って来て小芭内に手渡した。
小芭内は小さな手で自身の髪を恐る恐る触りながら自分の髪が変に切られていないことを確認して安心していた。
艶「同じ長さばかりも面白くないから少しアレンジを加えてみたの。
これでお洋服もコーディネートさせてくれたらよかったのだけど、今回は散髪がメインだから諦めるわぁ。
で、どうどう?良い感じじゃないかしら?」
「似合ってると思うわ。
かっこいいわよ、小芭内」
伊「そうか……?」
小芭内は少し頬を赤く染めながらも今の髪型が気に入ったみたいだ。さっきからずっと触っている。
「非番なのに呼び出してしまってごめんなさいね」
艶「いいのよ、私とAちゃんの仲じゃないの!
また合同の時は頼りにしてるわ」
「ふふ、足を引っ張らないように頑張りますね」
これで準備は整った。
小芭内のためにも、これからは心を鬼にしていかなければ。
明日も明後日も、お互い安心して生きていけるように。
気がつけば季節は紫陽花が咲き乱れる6月から数ヵ月も経とうとしていた──。
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灰色サーモン - σ(・ω・)σさん» 返信遅れてすみません、、、!そうですね、私声真似得意なのでやってみますね! (2020年5月27日 23時) (レス) id: 99f545fffc (このIDを非表示/違反報告)
林檎の乙女(プロフ) - σ(・ω・)σさん» こちらこそありがとうございます!応援してます (2020年4月29日 22時) (レス) id: 45670cece1 (このIDを非表示/違反報告)
σ(・ω・)σ(プロフ) - 林檎の乙女さん» コメントありがとうございます(*´艸`*)林檎の乙女さんもコロナ気をつけてくださいね…。更新不定期で申し訳ないですが、頑張ります! (2020年4月29日 19時) (レス) id: 2ccf5b3872 (このIDを非表示/違反報告)
林檎の乙女(プロフ) - 作者さん、この物語を創ってくれてありがとうございます!これからも楽しみにしてます。コロナで大変ですが、お身体にお気を付けて頑張って下さい! (2020年4月29日 8時) (レス) id: 45670cece1 (このIDを非表示/違反報告)
σ(・ω・)σ(プロフ) - スモークサーモンさん» 語尾に!つけれるくらいなら元気な証拠ですね(笑)そういう時はしのぶさんボイスで「いつか冨岡さんみたく嫌われますよ〜」と言った後に伊黒さん並のネチネチ攻撃で撃退しましょう!最後に悲鳴嶼さんボイスで「かわいそうに…」というのもお忘れなく(笑) (2020年4月26日 11時) (レス) id: 2ccf5b3872 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:σ(・ω・)σ | 作成日時:2020年3月17日 18時