シルクの彼女は絹みたい【Fischer's】

記念日 ページ13

Aside

貴「シルクさん、シルクさん、遊ぼう？」
今日は付き合って6年目の記念日

だけど生憎の雨
折角だからおうちで何かしたいな

なんて思ってたのに…
シルクは編集ばっかでちっとも気にしてくれない

ｼﾙｸ「今は無理、てか今日は無理かな。アスレチックの動画は編集時間かかるの知ってるでしょ？」

知ってるよ…
いつも言ってるもん

沢山カメラ使うから大変だって
…知ってるつもりだよ

貴「シルク…」
ｼﾙｸ「煩いなぁ、少しぐらい待ってよ」

我慢していた涙が溢れた
貴「…いよ…！」
ｼﾙｸ「ん？」

シルクが顔を上げる
私の顔を見ると目を見開いた
きっと私が泣いていたから

貴「待てないよ！待てないに決まってるじゃん！いつもは嫉妬してデートしよ？なんて誘ってくるのに私のお願いは聞いてくれないの？今日、何の日か知ってる？…答えられないじゃん！付き合ってから6年の記念日だよ？もういい、シルクなんて知らない、シルクなんて嫌い…！」

玄関を開けて雨が降ってるのも気にしないで飛び出す
上着も着てない、マフラーもしてない
もちろん吸入器なんて持ってるはずがない

近くの公園に入る
遊具の中に洞窟みたいになっているところに入る

貴「ｺﾞﾎｺﾞﾎｯ、ﾊｧﾊｧ…ｹﾞﾎｯ、ｺﾞﾎｺﾞﾎ、ｺﾞﾎｯ」
咳が止まらない

心臓が痛い、頭が痛い…
さっき挫いた足首が痛い

貴「シルク…ｺﾞﾎｯ、ｹﾎｹﾎ…ｺﾞﾎｺﾞﾎ」
何ヶ月記念日だったらそんなに怒らないよ

何年付き合ってるの？
いくら怒っていても頭を支配するのはシルクの笑顔

あぁ、体がふわふわしてる
もうダメかも…

私は意識を手放した

▽→←いちごの味

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す