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誰もいない真っ暗な校舎を出ると、


「銀さん!」


制服姿のAが目に触れた。
たった1日一緒に居なかっただけなのに、
自分から意地張ってしばらく来ないって言ったのに、無性に抱きしめたくなった。


「…よォ、母校見学にでも来たのか?」


自分の両手を押さえようとするも
まだ、一昨日、誤魔化されたのを根にもった態度が出ちまった。

一瞬、悲しそうな顔をしたのを見て、言い直そうとしたが、
その前にAが口を開いた。


「今からうちに来て。…銀さんのこと、ちゃんとおじさんに話す。」

「…めんどくせーから、今更言わなくてもいいだろ。」

「昨日は、本当にごめん。考えたんだけどさ、やっぱり隠してたってなんもいいことないし、
銀さんにも、神楽達にも無理させちゃうことになるし…。」


Aが口を動かすたびに下を向くもんだから、見てられなくて


「…お前が謝るこたァねーって。俺も、その…大人げなくて悪かった。」


頭の上に手を置いてそう言った。
確かに、妹の担任が居候してるなんて話を聞いたらそりゃ驚かれるだろう。
だから、Aが俺を気遣ってくれてたのは、気づいてはいた。


「とりあえず、おじさんが帰ったら教えてくれや。そしたらまた、行くからさ。
…ほらもう暗ぇし、原チャリ乗れ。送ってやっから。」

「そんなの、嫌だ。…私、もっと堂々と銀さんと付き合ってたい。だから…お願い。」


手を取ろうとすると、Aは顔を上げてそう言った。
当然、真剣な顔をして純粋にそう言うAに勝てるはずがなく、
言われるがままに原チャリを走らせた。


「阿伏兎のおっちゃん。」

「よォ、遅かったじゃねーかAちゃん。
…って、あり?…孤独に耐えられない病をお持ちの坂田さんじゃないですか。」

「…どーも。」


家に着くなりリビングに3きょうだいのおっちゃんが居て、軽く会釈をした。


「おっちゃん、ちょっと話があるんだけど。」

「…そりゃいいけど、お前さんの下2人が腹が減ったって拗ねてんだ。
隣の子も手がつかねェみてェで呆れちゃっててよォ…。
わりィけど、飯の準備してもらえんかねィ。」

「うん。」


そして手っ取り早く準備して、出てきたのがしゃぶしゃぶだった。

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作者名:夢路 | 作成日時:2016年1月17日 14時

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