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33日目:好きだからこそ ページ29

文化祭も終わって、一段落。
放課後、部室の鍵を取りに行こうと職員室に行ったら、
Aと担任が廊下で話しをしていて、なぜかとっさに隠れたら


「この間の件なんだが…」

「はい…もう少し、考える時間いただいてもいいですか?」

「分かった。決心がついたらいつでも、行ってくれ。」

「はい。」


偶然そんな話が聞こえちまって。
担任がその場を去った後にAを見てみると、
壁に貼ってあるポスターを眺めて、タメ息をついていた。

そして、少ししてAが去った後に俺もそのポスターを見た。


「…!…アイツ…。」


そのポスターは留学についてのものだった。























「アイツ、留学する気かもしんねェ。」

「受験生たぶらかして何が楽しいネ、クソマヨ。消えろアル。」

「そーだそーだ。自分が受験生じゃねェからってそーいうの良くねェぞ大串くん。」

「大串って誰だよクソ天パ!」


夕飯を食い終わって、
Aが風呂に行ってる時に言った。


「そんなの急に言われても、信憑性ないし証拠が浅すぎ。
姉ちゃんのことだから夕飯の献立考えながらボーっとしてたに違いないヨ。
それに、俺たちに黙って、どっか行ったりなんかするわけないでしょ。」

「…まだ完璧に留学するとは言ってねェだろ。あいつ、留学の知らせ見て迷ってたぞ。」

「そういやちょっと前に、駅前の本屋で語学コーナーに居たの見た。」


総悟が俺の後付をするように言うと、
さっきまで大口叩いてたのが、


「そんなの嫌アル。…姉ちゃんが長い間、家から居なくなるなんて。」


そんなことを言った。


「そうは言うけどAちゃんの進路だぞ、チャイナ娘。」

「そんなの分かってる!分かってるけど…でもやっぱり嫌アル!
銀ちゃんだって、姉ちゃんが留学するなんて言ったら止めるでしょ?!」

「…俺は…」


近藤さんが、チャイナを落ち着かせようとするが、
話の矛先と視線は、天パ教師に向いた。


「止めねェよ、背中押す。」

「…そんな…銀ちゃんまで、ゴリの肩を持つアルか…。」


一瞬、アイツが躊躇ったような顔をしていたのを、俺は見逃さなかった。
アイツも本心は止めたかったに違いない。

けど、Aのことが好きだからこその決心なのだろう。

“背中を押す”っていう選択は。

*2*→←*2*



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作者名:夢路 | 作成日時:2016年1月17日 14時

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