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*2* ページ28

夏休みが終わった。
神楽と沖田くんは志望校決まらずだけど、とりあえず勉強をしている模様。
Aと前髪V字は文化祭で色々と忙しいみたいで、帰りは遅くなって、


「…姉ちゃん、後片付けやっとくからお風呂入って寝なヨ。」

「大丈夫だよ、神威…。あり…がと…」


ご飯の時に箸持ったまま寝ちまうくらいだ。


「しょうがねェな…。」


もう起きそうにないAを両腕で抱きかかえた。


「ロリコンクソ天パさん、姉ちゃんのことよろしくネ。」

「弟クン、なんか前より呼び方酷くなってない!?」

「通常運転だヨ。ほら、早く行って。」


神威に背中を押されて、部屋に行き、ベッドに寝かせた。


「…銀八…。」

「…夢の俺とイチャコラしてねーで、こっちの俺とイチャコラしなさい」

「ん゛っ」


寝てるAの鼻をつまむと嫌な顔された。
でも、すぐに楽しそうな顔したから、


「文化祭頑張れよ。見に行くから。」


前髪をそっと掻きあげて、額にキスした。


「口だったら、どーなってたことやら。」

「…弟くん、居たのネ。」


Aの部屋から出てすぐ横に
神威が腕を組んで壁によっかかっていた。


「そういや姉ちゃん、中学の時も文化祭限定でバンドやってたよネ。
頑張って弾いてるのにあんたの、下手クソな歌乗っけられちゃって。」

「あぁ。」

「…その時と同じような顔してるヨ。楽しそう。」

「そりゃよかった。」

「俺は認めたくないけど、いつも姉ちゃんが楽しい時に居るのはあんたなんだよネ。
…とりあえず、ありがと。」

「どーいたしまして。」

「だから、もし毛根死滅寸前の親父が来た時、頑張ってネ。
あれは、本当にやっかいだから。それから、バ神楽のこともネ。」

「…おう。」


弟として、兄貴として姉と妹をよろしくと言われてるような感覚だった。

それから文化祭当日になって、体育館の舞台で大勢の観客の中でギターを弾くAを見た。
それは、今までにないくらい輝いていて、
なにより、いつも家のことで埋もれていたAが、「高校生」だった。


「銀ちゃん、私…ここに決めたアル。」


ライブの余韻の中、ポツリと神楽が言った。


「いつも私たちのために自分のこと抑えてきた姉ちゃんが、
あんなに輝けるなんて、絶対楽しいに決まってるアル。」

「んじゃ、勉強がんばんなきゃな。」

「うん」


Aは神楽に姉として先輩として影響を与え、本気にさせた。
Aの存在は底知れねェなと感じた、今日この頃。

33日目:好きだからこそ→←32日目:志望校が決まりません。



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作者名:夢路 | 作成日時:2016年1月17日 14時

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