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「失礼します。こちら、初来店のお客様にサービスさせて頂いているワンドリンクです。」

らだお「あぁどうも。」
カニ「どもっす。すげぇ、白いお酒か···嗅いだことない香りがする。」
「ウゾ、と呼ばれるグレープ・ブランデーをベースとしたリキュールで、その香りはAtlantisブレンドのハーブの香りです。ギリシャでは“ 神の酒”とも呼ばれますが、家庭的に親しまれるもので、魚介のお料理に合うんです。」

当店のものは辛口のレモンジュース割ですね。と親しみやすい笑顔で俺と成瀬の前に静かにグラスを置くウェイターさん。

「ご注文はお決まりですか?」
らだお「あ〜···、」

カニ「これに合うおすすめ料理って、ありますか?」
らだお「!」
「もちろん、ございますよ。何品ほどご用意致しましょう?」
カニ「ん〜····、じゃあ、男2人が満足出来るくらいで。お酒も追加って出来ますか?」
「では、お料理に合わせてこちらでご用意致しますね。失礼ですが、お客様はお酒に極端に弱い、などございますか?」
カニ「俺は大丈夫。らだおは?」
らだお「俺も、大丈夫です·····。」
「かしこまりました。では、ご用意でき次第運んでまいりますので、少々お待ち下さい。失礼いたします。」

何故か楽しそうに笑って去っていった背中を送って目線を正面に移せば、更に楽しそうにニシシと笑う成瀬の顔。

らだお「·····お前さぁ、頼み方大雑把過ぎん?」
カニ「wwまぁ初めてだし?あのウェイターさん詳しそうだったじゃん。だったら任せちゃった方が確実だろ?」
らだお「…それもそう、か。」


こういう時に勝手を分かっている様に振る舞えるのは、“カニメイト”オーナーとしての経験からか。
俺は店舗経営なぞ1mmも分からんが、彼のおかげでハズレを引く確率が低くなったのだから何も言うまい。


らだお「(·····しかし、不思議と落ち着く場所だな。)」

テーブルに肘をつきながら、フェンス越しに月明かりに照らされた水面と揺らめく白船を眺める。
まだ少し冷たい夜風に当たりながら飲む“ウゾ”という異国の酒は、少しキツめのアルコールと香るハーブと共に、喉を熱く潤した。

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作者名:ふりかけザクザク | 作成日時:2024年2月8日 23時

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