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らだお「(……疲れたぁ。)」


先程まで“客船強盗”の対応に追われていたのだが、無事に制圧でき、ワラワラとみんなで署に撤退した。

つぼ浦が牢屋内の今回の犯人の怒号を「チキショウ埒があかねぇな」と流し火に油を注いでいるのを横に、「何も見てません」の顔をしてそそくさとロッカーに戻った。
生憎だが、“対応課”は呼ばれりゃ動くが呼ばれなきゃそれまでだ。別に特殊刑事課の暴挙は今に始まったことでは無いし。ウン、オレハナニモミテナイ。キコエナイ。

カニ「なぁらだお、この後空いてる?」

さぁ帰ろうかと退勤した直後に、成瀬から声をかけられた。

らだお「んー?空いてるよ?」
カニ「じゃさ、港に新しくできたバー、行ってみね?」
らだお「へ〜、バー?え、港って、客船の方?」
カニ「そーそー。新鮮な海の幸使ったツマミとディナーもあって、酒も上物。雰囲気も良さげだったって聞いたぜ?ど?」
らだお「へ〜……。」


思えば、最近ちゃんとしたお店なんて行ってないかもしれない。いつも食べ物はコンビニで済ませるか、路上販売のジャンクフードしか食べていなかったから。いや、あれはあれで美味いんだけど。

らだお「え、ドレスコード的なのは?」
カニ「一応あるっぽい?でも基本フリー。まぁでも、疲れてんなら今度一緒に行こうぜ!」

俺もどうせ行くなら全力で楽しみたいし?と零して、フフンと上機嫌に着替えに戻る成瀬。彼の中では俺と行くことは確定しているらしい。

らだお「(俺は明日は……、お。)」

後押しをするように、明日は非番。久々にピシッとキメて、明日のことを気にせず上等な酒を楽しむのも良いかもしれない。


らだお「それはそう。」
カニ「お?ってことは…?」
らだお「アリやねそれ。服屋で着替えてから行こうぜ。」
カニ「やりぃ!んじゃ先行ってるわ!」


おつかれ〜ッス!と無線で挨拶をしながらロッカールームを飛び出す成瀬に、「お疲れ様ー!」「またあしたー!」という元気な声が返ってくる。またそれに無線で「アーイ!」と返す彼の声は、上機嫌そのもの。

らだお「どんだけ楽しみなんだよw」

まぁ、本人も店のオーナーである以上、“良い店”の噂にウキウキになるのは分かる。にしたって退勤直後にしては元気すぎだが。


らだお「らだおも退勤しマース。お疲れ様でーす。」

「おつかれ〜!」「はーい!」「お疲れ様です!」という声を聞きながら、俺もバイクに跨った。

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作者名:ふりかけザクザク | 作成日時:2024年2月8日 23時

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