あの人の笑顔が見れれば ページ28
あぁ、俺は死ぬんだな。
もう残り僅かな時間で、なんとなく予想を立てて察する。
こんな時にアイツがいてくれればなぁ。
いっつも笑顔で、俺の名前を呼ぶアイツ。
『…いたッ！…ねぇッ？！きんとき！！！！！ねぇ…ねぇッ！！！』
あぁ、本当に来てくれた。
…まだ全員蹴散らしていないはずなのに…断末魔も雄叫びも何も聞こえない。
「…ね…ぇ。てき…は？おれ…ま…だ…ぜんい…ん…やっ…てな…いよ…。」
絞りだした声はあまりにも弱々しくて、本当に俺の口から出た言葉なのかと疑をつくる。
『私がッ！やったのッ！きんときに教えてもらった斧を使ってやったのッ！』
Aはやけに焦ったような口調でまくしたてるように喋っている。
…何故だろうか。いや、理由など単純明快か。
“＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿俺を助ける為＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿”
あぁ、こんな戦場でとんだ優しさを出すA本当にAらしい。
軍医として医療の禁止事項の全てはとっくの昔に把握しきっている。
俺は助かるわけないだろう。…だって、腹部に大剣が刺さっているのだから。
例え大剣を抜いて止血したって、助からないのは目に見えている。
なのに助けようとしてしまうのは、恋愛対象だからか、単なる優しさであり慈悲か。
まぁ、俺とAの関係的に多分だが前者だろうな。
…でも、いずれ死す命なのだ。今もし救えたって死ぬのは案外近い未来だろう。
「お…れはも…う…たすか…らな…い。それな…らたす…かる…いのち…をす…くったほ…うが…いい…。
お…れ…との…かん…けいが…いま…のA…のこ…うどう…をおこし…ている…のな…ら、いま…す…ぐやめ…ろ。
この…こうど…うはぐ…んいと…しての…きんしじ…こう。…だめな…んだよ。」
『禁止事項でもいいよッ！！いいからッ！！！！！きんときが助かるならッ！！』
あぁ、もうまともに四肢も感覚も何もかも機能しない。
それならば、最期くらい。…最期くらい、我儘を言わせて欲しい。
「わら…って…？」
A視点
「わら…って…？」
あぁ、きんときは最期の最期まで卑怯だ。
泣きかけの笑顔でも、許してくれるだろうか。
『…きんとき…。今までもこれからも、愛しています…。』
後日、墓が作られた。
“Aの最愛のきんとき”
いつもなら恥ずかしいそれも、恥ずかしくはならなかった。
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暁月・月夜(プロフ) - 彼とお客様の身に何が起きたのでしょうか？そして、人と人の関係は時に脆く時に残酷なものへと変化していくものなのです｡さて、続きまでお待ちくださいませ｡ ……月の物語でした｡ (2022年9月27日 18時) (
レス) id: b01ef2f9d3 (このIDを非表示/違反報告)
avis - 世界はいつか、荒廃して行くものです。それは人間も同じで、誰もが美しく生きることは出来ません。世界では、数多もの醜く生きる人がいます。しかし、それはしょうがのないこと。美しくても醜くても、差別だけはしないようにしましょうね。…深淵の物語でした。 (2022年6月3日 16時) (レス) id: 75beaff94a (このIDを非表示/違反報告)
avis - タイトルの通り、誰が誰にこの言葉を言ったのか…それは誰にも分かることは無いでしょう。…深淵の物語でした。 (2022年5月28日 16時) (レス) id: 94c750415c (このIDを非表示/違反報告)
avis - 死なない彼は、今度どうしていくのでしょう。奇跡の可能性を信じ、無限へと手を伸ばすのか、諦めるのか。それを知るのは彼だけですね。…深淵の物語でした。 (2022年5月1日 19時) (レス) id: 94c750415c (このIDを非表示/違反報告)
avis - 森羅万象が代替するのは、人間の云う浅はかな願いなようです。御客様は森羅万象を説くつもりはないようですけれどね。…深淵の物語でした。 (2022年4月29日 8時) (レス) id: 94c750415c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：dackmoon 闇月 | 作者ホームページ：http://dackmoon yamiduki
作成日時：2022年1月26日 19時
