神託を授かりし者 ページ26
「…今日は…ヒソップを持ってるってことは邪の浄化？」
今、私の目の前にいるのは、
私はきりやんに神託を授けた奇跡を司る神。
『…よく分かったね、きりやん。』
「はいはいそうだね。…で、どこの邪の浄化をすればいい？」
『正直どこでもいいんだけど…なら聖愛の神殿の浄化をお願いできるかな？』
聖愛の神殿とは、神聖な光によって照らされた愛の象徴の場所のこと。
そこにはトケイソウと言われる植物が、これでもかと咲いているらしい。
トケイソウには、聖愛に近しい意味が込められており、今回の目的はそのトケイソウだ。
『…今回はかなり厄介な邪らしいから私もついていくよ。』
無理矢理な感じは否めないが、こういうように話を出さないと社交下手な私では感づかれてしまう。
「珍しいじゃん。Aがついて来るなんて。…そんなにヤバいの？」
『…ヤバいんだよ。…さっさと行こうか。手遅れになっちゃ困るからね。』
そうやって辿り着いたのは、透き通るような青色のトケイソウが咲き誇る聖愛の神殿。
「…ぱっと見、邪なんていないけど？」
『…今回は見えない邪のようだな…取り敢えず中心へ行こう。』
自然と、きりやんが私の前を歩く。
…チャンス！
「…うわぁぁ！！！！…ってAか…。…ん？…な、なんで抱き着いてんの…？」
『きりやん…君は私の邪な気持ちに一切気づいてくれないね。
トケイソウの花言葉を知らないのかな？
…私よりも博識な君とあらば、花言葉なんて容易いと思っていたんだけどね。』
そう言って、より抱き締める力を強くした。
そうしてどれ程の時間が経っただろう。
もしかしたら生命が誕生したのかもしれないし、もしかしたら幾多もの生命が散ったのかもしれない。
あぁ、無理だったのだろうと感じ、気まずそうに離れようとしたその瞬間、
きりやんの腕が私の腰に回された。
少し痛いなと感じる程の力の加え方は、まるで慣れていない動物がやる求愛のよう。
「…返事が遅れてごめん…。まさかAもそうだとは思って無くて…。
トケイソウの意味も知ってる…知ってるから…。」
そうやって彼は腕を解き、私の前で礼儀正しく膝間づいた。
「…好きです…A。」
そう言葉を零して。
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ヒソップ…「清潔」「浄化」
トケイソウ…「神聖な愛」
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暁月・月夜(プロフ) - 彼とお客様の身に何が起きたのでしょうか？そして、人と人の関係は時に脆く時に残酷なものへと変化していくものなのです｡さて、続きまでお待ちくださいませ｡ ……月の物語でした｡ (2022年9月27日 18時) (
レス) id: b01ef2f9d3 (このIDを非表示/違反報告)
avis - 世界はいつか、荒廃して行くものです。それは人間も同じで、誰もが美しく生きることは出来ません。世界では、数多もの醜く生きる人がいます。しかし、それはしょうがのないこと。美しくても醜くても、差別だけはしないようにしましょうね。…深淵の物語でした。 (2022年6月3日 16時) (レス) id: 75beaff94a (このIDを非表示/違反報告)
avis - タイトルの通り、誰が誰にこの言葉を言ったのか…それは誰にも分かることは無いでしょう。…深淵の物語でした。 (2022年5月28日 16時) (レス) id: 94c750415c (このIDを非表示/違反報告)
avis - 死なない彼は、今度どうしていくのでしょう。奇跡の可能性を信じ、無限へと手を伸ばすのか、諦めるのか。それを知るのは彼だけですね。…深淵の物語でした。 (2022年5月1日 19時) (レス) id: 94c750415c (このIDを非表示/違反報告)
avis - 森羅万象が代替するのは、人間の云う浅はかな願いなようです。御客様は森羅万象を説くつもりはないようですけれどね。…深淵の物語でした。 (2022年4月29日 8時) (レス) id: 94c750415c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：dackmoon 闇月 | 作者ホームページ：http://dackmoon yamiduki
作成日時：2022年1月26日 19時
