犬と月 (ページ4)

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月の4 ページ4

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いつからか。
ジェシーのことで胸が重くなる時には、
本当に、肋骨のあたりが痛むようになった。

最初は気のせいかと思った。
「こーち、最近お腹のあたり抑えてることが多いね。調子悪い？」
楽屋に2人になったとき、目端の利く慎太郎がふいに言った。
「んー…、元々お腹、弱いからねえ」
いつも通りですよ、て感じで答えておく。
「そう？」
グループ1の気遣い屋でもある最年少は、もうそれ以上は何も言わなかった。

これはマズいな、と思うことは他にもあった。
お菓子を食べるのがやめられない。

元々好きでお菓子を食べる量も多かったのだけど、ただ好きだからってだけじゃなくて。

「こーち、食べすぎ！！」
「こーち、もうダメだって！！」
長い腕がお菓子の袋を取り上げていく。
「おい！返せよー」
「だめ。ご飯を食べなさい、ご飯を」

ジェシーが、俺のことを心配してくれるから。見張っていてくれるから。
やめられないんだって、わかってる。

歪んでるなあ、と自分でも思う。

ご飯前にお菓子を食べて、ご飯が食べられないこともよくある。
もともと食が太い方じゃない。

本当のことを言えば、最近はお菓子を食べると胃が痛む。
味がよく分からないときもある。
味がしないから、お菓子はもちろんご飯も美味しくない。
みんなと合わせて「おいしー！」とか言ってみるけど、とても全部は食べられない。

ジェシーはずっとそんな俺を叱ってくれてたけど、最近では怒りながら呆れてるような言い方をすることもあった。

きっとそのうち、何も言われなくなるかな。

あと、どのくらい？
どのくらい、ジェスは俺を気にしてくれるかな。

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