犬と月 (ページ18)

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犬の5 ページ18

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恋って、…好きってなんだろうねーーー

なんとなく口から出たおれの言葉に、
うん…、て呟くようなかすれた声。

隣を見たら、穏やかな頬、店のランプのような灯りに照らされて。
何かを考えてる時の遠い目、長い睫毛の陰。

笑ってる顔はかわいいんだけど、真顔もいいな…
なんて。

オレンジ色の優しい時間。

……この人と、ずっとこうしていられたらいいのにな。

不意に。

睫毛のまたたきがスローモーションみたいに見えた。

なんだよ。寝ぐせがついたままじゃん。

もう夜なのに子供みたいなのが可笑しくて、なんとなく手を伸ばしてふわふわの髪を触ったら、
椅子から飛び上がるほどビクッと跳ね上がって、丸い目を見開いてこっちを見る。

「…なに？」

なに、って…

あんまりびっくりするから、こっちもびっくりして、お互い見つめ合ってしまう。

「……っ」

何か言おうとしたのかこーちの唇が薄く開いて。
少し眉をひそめて視線を逸らした。

オレンジ色の光が、こーちの無造作な髪先を照らしてキラキラしている。

キレイな横顔のシルエットが浮かび上がる。

伏せ目がちなまつ毛に宿る光と、顎の線に潜む影。

なんでか、目が離せなかった。

―――イマコーチニキスヲシタラドンナカオヲスルノカナ

衝動的に、そう思った。