【立海】日々、晴天なり。 3 (ページ31)

今日:7 hit、昨日:36 hit、合計:281,623 hit

日常、廊下を進む。ページ31

とはいえども、この油。
廊下に点々と落ちてる歯車。
響き渡る機械音。

貴「不気味だわ……」
幸「ほんとにA、頭打ってない？熱は？」

精市、いくらなんでも酷すぎませんか？

不「でも、鳥肌立ってるよ、大丈夫？」

腕を見ると、あら本当。腕まくりしてたジャージをぐいっと引き下ろして、

貴「私は、きつい匂い嫌い！機械音嫌い！そして、蜘蛛嫌い！なのにここは何、油から異臭はするわ機械音は鳴り響くわ蜘蛛の巣は張り巡らされてるわ！」

拳握って力説したが、流石に一息は辛かった。
むせ返る。くっ、久しぶりだなこの感じ。ホイッスルが私の声の代わりをしてくれるようになって、とんとなかったのに。

幸「よしよし、頑張ったね」

精市が背中をさすってくれる。これも久しぶりだなおい。

越「要するにここは、お化けにも蹴りを入れる程超人的なA先輩の数少ない苦手なものが集結した特異な空間なんスね」
貴「尾ひれ付き過ぎだ馬鹿者」

超人的テニスをする貴様らには言われとうないわ。特に私は凡人中の平凡ガールなのよ、お・わ・か・り？

財「わからへんっスわ。というか、A先輩が平凡とか絶対ありえへん。絶対」
貴「2度言うか2度。つか、心読んだ！？」

お前までか！？

鳳「口に出てますよ、A先輩」
貴「え、嘘」

ぱっと口に手を当てる。

宍「お前本当面白ぇな！」

とても笑われながら言われてしまった。

貴「それ褒められてるかよくわからないけれどまあありがぎゃぁああああっ！！！」
丸「うわああああどうしたんだよぃ！？」

どうしたもこうしたもそうしたもああしたも、

貴「イヤぁあ蜘蛛っ、蜘蛛嫌いぃい！！！」

闇雲に隣にいた奴にしがみつく。蜘蛛！蜘蛛！！来るな来るな来るな来るなっ！！！

手「落ち着け、おい櫻木…」
不「蜘蛛…よっぽど苦手なんだね」
海「…悲鳴……うるせぇ……」

青学陣が総出で私を囲んで…ん？

幸「はいA、落ち着こうねー。手塚、苦労かけた」
手「あ、ああ……」

どうやら私がしがみついてたの、手塚部長だったみたいだ。目を白黒させてらっしゃる。これは、ご無礼仕りましてございます。

柳生「落ち着かれましたか、Aさん？」

覗き込まれ…あれ？

貴「音…止まってる？」

一拍、静寂。
ぴしゃっ、と、水音がした。それも、等間隔に続いて。
そしてまた、ぎぎぎぎって…！！
その音に驚いたのは人間だけじゃなくて、

貴「蜘蛛イヤだってぇええええ！！」
幸「だから、落ち着いてって」