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「ごめん、俺ちょっとトイレ！」




怖い話は大好きだし、
すげえ聞きたいなって思うけど、
今はふたりの方が気になる。


そう思って、ふたりの後を追った。




「Aちゃんなにか飲む？俺、奢るよ」

「いえ、そんな、大丈夫です」

「教えてもらったお礼。
奢るって程のモンでもないし、自販機で悪いけど」

「あ、じゃあカフェオレがあれば」

「OK、カフェオレね。
じゃあ俺はコーヒーにしようかな」




ふたりは自販機が置かれている
休憩室のようなスペースにいた。




「はい、どうぞ」

「ありがとうございます。いただきます」

「いやいや、俺も怖い話が始まってるって聞いて助かったからさ。
聞かないようにしようと思っても、ああいう話ってどうしても耳に入ってきちゃうじゃん？」

「あはっ、ですよね。
私も席外すの迷ったんですけど、
後のこと考えたらやっぱり無理って思って」

「だよなー。洋平なんて俺が苦手なの知ってるのに、
わざわざ面白がって話してくるからね。
でもこれからは理解者がいて助かる！」

「理解者ですか笑」

「怖い話反対同盟でも組もうか？」

「ふたりだけじゃ洋平さんに負けちゃいそう笑」

「ふはっ。洋平、押しが強いからな。
もっと人数集めないとダメか笑」




やっぱり怖い話は苦手だったんだ。




ヒロと楽しそうに話してる姿に焦りと嫉妬を覚えながら
ふたりのそんな会話を聞いた。




てか、恋愛的な何かで
ヒロが連れ出したとかじゃなくて良かった・・・。




それにしても、




「なにか怖い話知ってる？」のフリは、
距離を詰めたい時によく使ってる言葉なんだけど
怖い話が苦手となると困ったな。


静かに席を外しちゃうあたり、
怖がりレベルはヒロと同等みたいだし。




つうか、変な同盟組まれて、
俺よりヒロと仲良くなられたら困るから
しばらく怖い話はやめとこう。


今度は猫の話でもしてみようかな。
動物嫌いじゃないといいんだけど。




そんな風に思いながら次のチャンスに想いを馳せて、
ふたりには気付かれないようにその場を離れた。





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