今日もみんな元気です ページ8
気に触ることを言ったかと思ったが、そういう訳でもなさそうだ。
ふわりとした笑が一瞬の焦りを消し去ってくれる。
「片付けなら俺も手伝おうか」
『そこまで多くもないから大丈夫。捨てていいもんか聞くくらいはするけど、後は一人でできる。三人はゆっくりしてていいぞ』
「む…またそれか…」
『ん?』
また、とはどういう意味なんだろうか。
「ゆっくりしててもつまらんし、遊ぶにしてもやることが無いんだ、手が開くくらいなら何かしら手伝わせてくれないか?」
鶴丸さんの変わりに薬研くんが口を開いた。
やっと落ち着いたのか、さっきまでのが無かったかのように振る舞う姿に何も言えなくなる。
『あー、そんなもんか…』
「そ、そうです…!」
両手に握りこぶしを作っていっぱいいっぱいに俺を見上げる五虎退。
『うーん…かと言ってやることもこれと言って』
「畑は?」
さっきなにかやるって言ってたろ?
と、薬研くん。
まああるっちゃあるんだけど…。
『草取りだぞ?あんま楽しくないぞ?』
「別にいいさ」
白い歯を見せて笑う彼に何も言えなくなる。
まさかこんな雑用押し付けられて、嫌な顔一つしないなんて…ほんとにいい子しかいないな。
更に申し訳なくなる。
「僕、バケツとか取ってきますね…!」
「あ、俺も行くぜ」
そうと決まれば、と言った感じで五虎退が庭を横切ったところにある小さな倉庫に急いで向かう。
小さな彼のあとを、心配した薬研くんが追いかける。
遠ざかる二人の姿を微笑ましく見守る俺たち。
そういえばあの二人は兄弟だと言う。
意外といえばそうだが、何となく兄弟感はあるよな。仲いいし。
『…進んでお手伝いとかほんとに偉いよな』
「…俺だって…」
仄かに赤くした頬を膨らませ、黄金の目を伏せる彼。
まるでむくれた子供のようだと、神様に少しばかり失礼なことを思ってしまう。
『くくっ…鶴丸さんもだよ。どうもありがとう』
少し空いた距離をその分詰めて、俺よりも幾分低い顔をのぞき込む。
ポカンとした顔はもうお馴染みになりつつある。
また紅くなる彼は、名の通り鶴のように美しく思う。
「っ…!!あ、いや…その…っっっ…!!お、俺も向こう行ってくる!!」
瞳を大きく瞬かせウロウロとさせ始めると、喉元に突っかかっていたような、絞り出したような声を上げて二人を追っていってしまった。
『…元気だなぁ』
今日も本丸は元気です。
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彩香(プロフ) - ゆきむらさん» 初めまして、コメントありがとうございます。そう言っていただけるととても嬉しいですありがとうございます!!お応えできるよう、頑張ります! (2019年5月31日 22時) (レス) id: ac0ca94cff (このIDを非表示/違反報告)
ゆきむら - 初めまして。作者様の小説、最初から一気読みさせて頂きました。とても面白かったです!これからも自分のペースで更新なさって下さいね!応援しています! (2019年5月30日 3時) (レス) id: 98604c15ab (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - …さん» 返信遅くなりすみません、コメントありがとうございます。中々更新できていませんが、お応えできるよう頑張ります。ありがとうございます!! (2019年5月28日 12時) (レス) id: c14942e9c6 (このIDを非表示/違反報告)
… - 此処まで一気に読みました、更新応援しています。 (2019年5月25日 14時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - ねむるさん» 返信遅くなりすみません!応援していただける分、出来る限り更新できるよう努力します!ありがとうございます! (2018年5月27日 22時) (レス) id: c14942e9c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩香 x他1人 | 作成日時:2017年7月16日 11時