友達ってなんですか？教えて貰っていいですか？ 【刀剣乱舞・男主】

垣間見えた闇 ページ4

流石にそれがお世辞だというのも分かってた。

食べられない訳では無いけれど、決して美味しくもない。
隠しきれない焦げの味もするし、べたべたなご飯にボロボロの卵。

主様が作ったものと比べると雲泥の差。
比べるまでもないのです。

けれど、主様は今、とても嬉しそうにしてくださる。

心の底から嬉しいと言ってくださる。


何よりもそれが嬉しかった。









だけれど。

さっきのは何だったんだろう。




【“俺の為”ってのが嬉しい響きに聞こえたの久しぶりだぁ…】



無意識に口に出た言葉だったのかもしれない。
でも、何も無いのなら無意識であろうと口に出る言葉ではないのは確か。


本当に、僕らは主様を何も知らないんだと実感する。


不意に薬研兄さんと目が合った。

何が言いたいのかわかっている様子で、ただ静かに首を横に降った。

“今は何も言うな”

と言っているようだ。








分かってる。だから今は聞かない。

何時か、何時か、ちゃんと話してくださいね。




「約束ですよ、主様…」

足元に擦り寄る虎さんを一匹抱き上げる。
主様には届かないような声でぽつりと呟く。

虎さんは不思議そうにこちらを向き首を傾げる。

『？なんか言った？』

主様がこちらを向いて首を傾げた。

なんだか似たもの同士ですね、と笑ってしまった。


「いえ、何も。…ふふ、主様主様、玉葱は僕が切ったんですよっ…！」

『お、そうなのか？綺麗に切れてる！流石五虎退』

「えへへ」

彼の大きな手が僕の頭を包んでくれる。

口には出さないものの“羨ましい”と表情に表す二人。

これは俺がやった、これは俺が、と自慢話…と言うんでしょうか？が始まった。

主様は小さく笑いながらも、凄い凄いと二人を褒めた。


嬉しそうに笑うみんなに釣られて僕も笑う。




こうしてちょっと変わった日が暮れていった。









ーオマケー


『ところでお前らは食わないのか？』

「あ、あーっと…そうだな…」

「俺達は腹が減ってないから…なぁ」

『またそうやって…何か作ろうか？』

「いやいやいや！大丈夫、大丈夫だ」

「そ、そうですよ、本当に大丈夫ですから！」

『…そうか？』





「「「(失敗した大量の亡骸を処理してたら腹一杯になったなんて言えない…)」」」

『？』





やっぱりちょっとはカッコつけたいんです。

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