わからんでもない ページ50
「ところで、何をやってたんだ??」
先程流れてしまった質問を再度繰り返す。
二人がここにいるのは珍しい。
いや、五虎退は大将の手伝いでよく並んでいるのを見るが、この二人で、というのが珍しい…と言うか見たことがない。
「えっと…お昼ご飯…でも作ってみようかと思ってたんです」
「昼餉?」
「そうさ。主が寝ている今なら普段できないことが出来るだろ?親孝行ならぬ主孝行ってやつさ」
「なるほどな」
さらっと台の方へと目をやれば作り途中と思われる“何か”があり、周りは大将がいる時では考えられないほど、汚れやら道具やら食材やらが散乱していた。
目も当てられないほどの状況…と言うやつだろうか。
「な、何を…作ってるんだ?暗黒物質でも生み出そうとしてるのか…?」
顔が引き攣るのがわかる。
隣で五虎退が苦笑いを零し、鶴丸の旦那は目を逸らしている。
現実を見ろよ旦那…。
「え、えへへ…おむらいす…の作りかけのつもりなんですけど…」
そっと本を取り出し、絵付きで書かれた料理法を見せる。
よくよく見れば…いや、そうでなくともこんな惨状になるような絵は描かれていない。
「いやなぁ、本通りにやっているつもりなんだがなかなか上手くいかん。本も主も簡単そうにやっているんだが…」
「大将は器用だからな」
五虎退から本を受け取り、上からしっかりと目を通す。
1度だけ大将がやっていたのを見たことがある。
「…兄さんできますか…?」
「…無茶言わねぇでくれ、こういったのには触ったことないからなぁ」
縋るような目で見られても困る。
ご飯までは作り上げたようだからあとは卵で巻くだけ…。
目をずらせば何個か完成系のものが皿に盛られている。
だがそれはやっぱり大将が作っていたような綺麗なものではなく、卵が敗れて中身が出ていたり生焼け過ぎだったり黒焦げだったりと様々だ。
「それが難しいんだ」
俺が卵の部分を読んでいたことがわかったのか、諦めたように溜息をつきつつそう言った。
「これ巻かねぇと駄目なのか?上から掛けるだけでもそれっぽく見えるだろ」
うーんと二人が首をひねる。
「…そうした方がいいのはわかってるんです…」
「けどなぁ、妥協するのも悔しくてな。やっぱり…なぁ?」
大将と同じ物、綺麗なものを出したい…か。
彼らが作ったご飯も、色のバラつきがあるし焦げが見える。
お世辞にも綺麗とは掛け離れている。
けどまあ、その気持ちは分からんでもない。
「やってみるか」
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彩香(プロフ) - こすさん» お恥ずかしいですすみません。すぐに修正させていただきます! (2017年7月21日 13時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
こす - 真名=まな だと思う (2017年7月18日 20時) (レス) id: 504739afed (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 晋陽さん» 返信、大変遅くなり申し訳ございません!コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年5月2日 12時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - 続きがとっても気になります!がんばってください! (2017年4月30日 17時) (レス) id: 698e01f38a (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - まーさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると本当に嬉しい限りです!透明ララバイの方は更新が途切れてすみません。少しずつではありますが更新していきます。ありがとうございます頑張ります! (2017年2月26日 20時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩香 x他1人 | 作成日時:2017年2月15日 21時