秘密の記念日 ページ40
「少しの間触れていただけで、一番大きな傷が癒えていたことがありました。無意識に霊力の供給がなされていたようです。手入れ妖精を介していない分、荒っぽくなったり霊力自体が弱くなる事が一般的な筈なんですけれど…」
その傷があったであろう脇腹を軽く擦る。
「そんなこともなかった訳か…」
「はい…」
特殊な人間、と言って良いものか悩むところだが、彼は少し変わった人らしい。
もちろん、いい意味で。
『な、なんだ…?なんかやばいことしたか俺?』
自力で立ち直った…いや、薄らと陰が残る顔だ。
どこまで引き摺っているんだ君は…。
陰を残しつつも、話の内容からしてなにかしでかしてしまったのかと不安になったようだ。
俺や薬研たちの顔を伺っている。
「いや、君は凄いってことだ。ただ、脆くもある。充分注意してくれよ」
片目に掛かっていた彼の前髪をさらりと撫でる。
男にしては柔らかすぎる髪に驚きつつも、手に馴染んで触り心地がいい。
突然触れたことに肩を揺らしていたが、それ以上特に気にすることもなく話を続けた。
『脆い…?身体は丈夫な方だが…』
「詳しい事は後で説明してやるよ。仕事の話と一緒にな。今は傷を治すことに専念してくれや」
薬研は俺と同じく主の頭へと手を伸ばし、ぽんぽんと軽く叩いた。
ぱちぱちと目を丸くしている主。
胡座をかいていた彼の足の間には、いつの間にか五虎退が座っている。
『え…あぁ、わかった…。それより何だお前ら、俺なんかの髪触って楽しいか?』
触って楽しいのは五虎退みたいなふわふわとか可愛い子だろ?なんて五虎退の頭に顎を置きつつ言う。
「楽しい楽しくないで撫でてないからな。触りたいから触ってんだぜ?大将」
『ぅっ…なんか薬研くんが変態チックでイケメンな台詞を吐くんだけど…。どう反応すりゃいいの?俺こういうの慣れてない…』
五虎退の背中に顔を埋める主。
よく見れば髪の隙間からほのかに赤く染まった耳が見える。
「主はこういうのに弱いのか。いいことを知った」
『おいやめろ』
間髪入れずに突っ込んでくるところを見ると、通常運転で安心できた。
こうして今宵も更けていった。
俺と主の、誓の日。なんてな。
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彩香(プロフ) - こすさん» お恥ずかしいですすみません。すぐに修正させていただきます! (2017年7月21日 13時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
こす - 真名=まな だと思う (2017年7月18日 20時) (レス) id: 504739afed (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 晋陽さん» 返信、大変遅くなり申し訳ございません!コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年5月2日 12時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - 続きがとっても気になります!がんばってください! (2017年4月30日 17時) (レス) id: 698e01f38a (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - まーさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると本当に嬉しい限りです!透明ララバイの方は更新が途切れてすみません。少しずつではありますが更新していきます。ありがとうございます頑張ります! (2017年2月26日 20時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩香 x他1人 | 作成日時:2017年2月15日 21時