名前と神さま ページ37
兄をあしらうとは…心の中で少なからず驚いた。
やはり大きくなったな…五虎退。
と、この光景を嬉しく思った。
「っはぁ、別に深い意味なんてない。審神者の旦那、なんて長いじゃないか。それに、大将と呼んでも語弊があるわけでもないだろう。慣れてくれや」
そもそも、なんで嫌なんだ?と呼び方ひとつで若干ではあるが駄々をこねる主殿に問うた。
どことなくしょんぼりとした雰囲気で、おずおずと応える。
『…主従関係はやっぱり距離を感じるし、俺はそんな大層な人間じゃない。上に立つなんて出来やしないからな』
「ふーんなんか、アンタらしいな。…という訳で、これから友人として、よろしく頼むぜ?大将」
『だから…!てか、何がという訳で、なんだよ?!よろしくするけど!!…はぁ…五虎退のもそうだが、名前でいいんだぞ…?そんな大層な呼び方しないでくれ』
「あ、そうか。君は知らないんだったな。いいか、俺達は腐っても神だ。そう易々と真名を教えてはならない」
衣装の袖で軽く目元を拭い、体を彼の方へ戻した。
『まな…?本名ってことか』
指先で真名、と宙に字を書くように動かした。
それを肯定するために首を二度、縦に振った。
「そうだ。神に顔と真名を知られてしまうと神隠しに遭う。神隠し、聞いたことくらいはあるだろう?」
“神隠し”という言葉を聞くと、少しばかり顔を強ばらせた彼。
宙を指したままの手を戻すことすら忘れているようだ。言葉通り固まったまま動かない。
それじゃあ口に出す前に、体が知ってると言ってるようなものだぞ。
『あぁ。ニュースとか心霊番組とかで偶にやってる突然の失踪…とか異空間に攫われるっていう…あれだろ?』
「うん、知らんが恐らくそうだ。神々は気に入った人間を自らの神域に連れ去ってしまうんだ。そこは君らでいう異空間。何をしようとも神の自由。それこそ…殺したり…とかな」
『っ…!!!』
既に青い顔をより青くさせている。
俺からしたら君の顔の方が怖いぞ…なんて口に出して言えないから心の中で言っておこう。
「ま、連れ去るってのは気に入ってるってことだからな。神隠しに遭った人間は、神に魅入られたやつだ。そうそう手荒な真似はされないだろうさ」
ビビる主殿を可笑しく思いながら、薬研は安心しろ彼の肩を叩いて言った。
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彩香(プロフ) - こすさん» お恥ずかしいですすみません。すぐに修正させていただきます! (2017年7月21日 13時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
こす - 真名=まな だと思う (2017年7月18日 20時) (レス) id: 504739afed (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 晋陽さん» 返信、大変遅くなり申し訳ございません!コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年5月2日 12時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - 続きがとっても気になります!がんばってください! (2017年4月30日 17時) (レス) id: 698e01f38a (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - まーさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると本当に嬉しい限りです!透明ララバイの方は更新が途切れてすみません。少しずつではありますが更新していきます。ありがとうございます頑張ります! (2017年2月26日 20時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩香 x他1人 | 作成日時:2017年2月15日 21時