それって本当に…? ページ24
『…よく、分からない』
いくらか間が空き、ようやっと口を開いた彼から出た言葉は、否定でも肯定でもなく単なる疑問だった。
『鶴丸さんの言ってることが、俺にはよくわからない。弱いことが悪いことなのか?幸せなことが怖いのか?…俺にはわからない』
「そりゃそうさ…分かられてたまるものか」
こんな思い、知らない方がそれこそ幸せなのかもしれない。
ははっ、ますます意味がわからなくなってきたな。
『確かにわからないけど、ホントにそれって悪いことなのか?』
「え?」
『鶴丸さんが自分のこと弱いって言うけど、それの何が悪いんだ?弱いことってそんなに悪いことなのか?』
無意識に拳に力が入る。
その手を見ると、震えているのがわかる。
力を入れたからか、はたまた…。
拳を解き、体の斜め後ろに両手をついた。
「何を…。弱さは悪だ、何も救えない守れない。弱いこと自体が罪なのだ」
『ふーん…。なら俺も罪人か…、なんか居心地悪いもんだなぁ』
うーんと唸りながらしみじみと語った。
驚きのあまり顔を上げて彼の顔を凝視した。
よく見えないが目を伏せていたことはわかる。
その顔がわざとらしくもあった。
「は?な、何でそうなる」
『?弱いのは罪なんだろ?なら俺もそうなる。見掛け倒しで、中身へなちょこだぜ?無理無理、幽霊とか何それ超怖い』
へらへらと軽い調子で肩を竦めた。
立ったままの彼は顔が良く見えないがきっと笑ってる。
なんで…。
違う。全然違う。
彼は弱くなんかない。
「君は…弱くなんてないじゃないか…」
再び頭が重くなる。
畳の目を見て呟いた。
君は弱くなんてない、俺とは違う。
君がふざけて言った弱い君自身。
その君の強さを、俺は知ってる。
俺が欲した強さを持つ君が、それに気付かずにいることが…とても腹立たしい。
『…なんで?何を見てそう言えるの?』
へらへらとした声色は変わらないが、裏に隠された真剣さ。
彼が何を考えているのかが俺にはわからないよ…。
「五虎退を庇った時だ…。身を呈して守ったじゃないか。死ぬかも知れないと分かっていて動けるのはそう簡単に出来ることじゃない…。それに…その相手にまで笑いかけられるのも、君の強さだ…」
『じゃあ…』
俺の言葉に被せて彼が声を上げた。
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彩香(プロフ) - こすさん» お恥ずかしいですすみません。すぐに修正させていただきます! (2017年7月21日 13時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
こす - 真名=まな だと思う (2017年7月18日 20時) (レス) id: 504739afed (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 晋陽さん» 返信、大変遅くなり申し訳ございません!コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年5月2日 12時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - 続きがとっても気になります!がんばってください! (2017年4月30日 17時) (レス) id: 698e01f38a (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - まーさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると本当に嬉しい限りです!透明ララバイの方は更新が途切れてすみません。少しずつではありますが更新していきます。ありがとうございます頑張ります! (2017年2月26日 20時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩香 x他1人 | 作成日時:2017年2月15日 21時