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話を聞いて ページ21

ーーー「あの人は、人との繋がりを強く求めてる。手を払うのは拒絶も同じだぜ。よく考えろ」


薬研が去り際に俺に小さく耳打ちをしていった言葉。
この意味がなんとなくわかった。



こう言ってはなんだが、たかが手を払っただけ。拒絶…といった顔もしていたかもしれないが、それだけだったんだ。
それだけなのに、彼は酷く悲しそうな顔をした。

絶望、と言っても過言では無いかもしれない。


そして、今の言葉。
自分からどんどん悪い方へと解釈を向けていく彼。

彼は人に嫌われることを、何よりも嫌い怖がっているようだ。


『…』


何も言わない俺に、本気で諦めかけた彼。
最後に小さく、ごめんと呟き背を向けた。


考えている暇なんてない。

これを逃せば、二度と彼と面を合わせることは無い。
触れることも、言葉を交わすこともない。

そう考えた時には、既に体が動いていた。
彼の体の横で、寂しく揺れていた左手を無意識に掴んだ。


『ッ!!…鶴丸さん…?』


もう、戻れない。


「は…なしを聞いてはくれまいか…」


喉から、いや腹から絞り出した声はとても小さく弱々しい情けないものだったが、彼にはしっかり届いたようだ。

ぎこちなくわかった、と言った彼だが、顔には嫌だとはっきり書いてある。



今の話からするに、やはり俺の考えていたことは十中八九当たっているんだろう。

人に嫌われたくない、怖がられたくない。

今まで何があったかは知らないが、彼は異常な程に人との繋がりを求める。
少し見たくらいじゃわからないだろうがな。


トラウマ、と言うんだったか。
俺は彼のそれを見事に踏み抜いたようだ。

ここまで彼が人との対話をしようとしないのは初めて見た。

傷つけるのも傷つくのも怖いんだろう。



「っ…まず、手を払ったこと、本当に申し訳ない。故意ではないってことはわかって欲しい…。自分勝手ですまない…」

彼は黙ったままだ。
目は相変わらず合わない。
握る手に力が入る。

「言い訳にしかならないが、俺は…まだ人が怖い。いや、人と言うよりは前任たちが怖い。ここ最近夢に出てくるんだ。それが…君と重なって見えた…。決して、君を拒絶したわけじゃないんだ…!!」

爆発→←言葉の裏の優しさ



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彩香(プロフ) - こすさん» お恥ずかしいですすみません。すぐに修正させていただきます! (2017年7月21日 13時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
こす - 真名=まな  だと思う (2017年7月18日 20時) (レス) id: 504739afed (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 晋陽さん» 返信、大変遅くなり申し訳ございません!コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年5月2日 12時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - 続きがとっても気になります!がんばってください! (2017年4月30日 17時) (レス) id: 698e01f38a (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - まーさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると本当に嬉しい限りです!透明ララバイの方は更新が途切れてすみません。少しずつではありますが更新していきます。ありがとうございます頑張ります! (2017年2月26日 20時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彩香 x他1人 | 作成日時:2017年2月15日 21時

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