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信用しません ページ14

『そ…その節はどうも世話をかけまして…。けど、ほんとにもう大丈夫なん…だ…けど…』

尻すぼみの主殿の謝罪を聞き、小さく溜息をつく。
何を言っても彼が仕事を休むことはないと分かったのだろうか、腕組みをし次は疑いの目を向けた。

「アンタの大丈夫は信用してない」

『酷いなぁ』

「まあ、薬研の言う通りだな」

『鶴丸さんまで…』

バッサリと言い切られる主殿に助け舟を送りたいのも山々だが、こればかりは何も言えない。

「こればっかりは…仕方ありません、主様」

奥の方から底の深い皿を重ねて持ってきた五虎退。
主殿の影響か、俺たちよりも早起きだ。

『五虎退まで…。あ、虎たちのご飯終わった?』

「はい!」

手に持った皿を彼に手渡す。

あの皿は五虎退の虎たちのご飯用なのか。

「あれは主様が薬研兄さんの言うこと聞かないから…。でも…叩いたのは…ごめんなさい…」

『はは、心配故だろ?気にしてないし、そこまで痛くなかったし。こっちこそ心配かけて悪かった』

皿を持たない手で彼の頭を撫でた。
しょんぼりとした五虎退の顔は、徐々に晴れていった。

彼の手には謎の力があるようだ。

『ほら、座れ座れ。飯できたから朝飯にすんぞ』


やや無理矢理だが、大人しく話を切り上げ席へと座る。

ぱっぱと座卓に並べられた朝餉。

今日は洋食のようだ。


少しずつではあるが料理の名も種類も覚えてきている。

これは、食パンとジャムだ。
食パンは焼くとトーストになるという。

名が変わるのは面白いな。

それとオムレツ、サラダ、ソーセージ。


主殿曰く、食パンは手作りだそうだ。
昨夜から仕込んでおいて、今朝焼き上げたばかりらしい。


それぞれ「いただきます」と口にし、朝餉に手をつけた。


「主様のご飯はいつも美味しいですよね!」

口いっぱいに頬張ってへにゃりと笑う五虎退に俺も薬研も同意する。

『褒めてもなんも出ないぜー?』


と言いつつも、自分の分のソーセージを五虎退に差し出した。

それを喜んで食べる五虎退。

もしやこれを狙って言ってるんじゃなかろうか、と薬研と目を合わせて笑った。






本日も、平和な日々は過ぎていく。

蘇る記憶→←あの時は大変だった…



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彩香(プロフ) - こすさん» お恥ずかしいですすみません。すぐに修正させていただきます! (2017年7月21日 13時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
こす - 真名=まな  だと思う (2017年7月18日 20時) (レス) id: 504739afed (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 晋陽さん» 返信、大変遅くなり申し訳ございません!コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年5月2日 12時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - 続きがとっても気になります!がんばってください! (2017年4月30日 17時) (レス) id: 698e01f38a (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - まーさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると本当に嬉しい限りです!透明ララバイの方は更新が途切れてすみません。少しずつではありますが更新していきます。ありがとうございます頑張ります! (2017年2月26日 20時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彩香 x他1人 | 作成日時:2017年2月15日 21時

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